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次の20年へ、電動アシスト自転車が迎える「第二の夜明け」小寺信良が見た革新製品の舞台裏(5)(4/7 ページ)

1993年に世界初の電動アシスト自転車「PAS」を発売したヤマハ発動機。この電動アシスト自転車という革新製品はいかにして生まれ、約20年が経過したこれからどのような進化を遂げようとしているのか。小寺信良氏が探る。

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電動アシスト自転車の市場

―― 現在の電動アシスト自転車のシェアはどれくらいですか。

鹿嶋 国内市場は、うちとブリヂストンサイクルさん、パナソニックさんでほとんどを占めています。数値は公表してないんですけど、ヤマハ発動機の単独ブランドでいうと4割弱ぐらいのところです。単独ブランドのトップシェアはパナソニックさん。

 ブリヂストンサイクルさんとは共同開発させて頂いていて、うちの車体はブリヂストンさんからの供給、一方ブリヂストンさんのパワーユニットはOEMでうちから供給したものを載せて頂いてます。うちのパワーユニットが搭載された電動アシスト自転車のシェアという見方では、半分強になりますね。

―― 近年の売れ筋の傾向というのは、どうなってるんでしょう?

鹿嶋 シニア層は安定需要として、そこに大きな山があるんですね。乗られる方は70代から80代、中には90代の方もいらっしゃいます。そこはもう、一度乗ったらやめられないという需要が大きくあるんですね。

 後は子育て需要です。ここはこ最近の数年でかなり大きく伸びていて、シニア層のボリュームとほぼ変わらないぐらいまで伸びてきている。この2つが大きなところですね。

子育て需要で好評の「PAS Babby XL」
子育て需要で好評の「Babby XL」。あらかじめリアチャイルドシートが装備されている(クリックで拡大) 出典:ヤマハ発動機

―― 一説には、坂道が多い町ではよく売れるという話も聴いたことがあります。そういう地理的要因というのは?

鹿嶋 強いですね。通勤用というよりは、買い物とか、子どもの送迎とか、日常づかいの利用シーンが圧倒的に多いので、平たんな地域は電動アシスト自転車が売れにくい傾向がありますね。

 通学用もあります。田舎の方だと、自転車通学の距離が結構長かったり、一山越えるとか、山の上に学校があるとかということもよくあります。横浜の坂が多いところなどは、7〜8段ぐらいの外装変速が付いてるアシスト付き通学車を置いておかないと、お店もご提案できないわけです。

―― 通勤では使わないんでしょうか。そういえば駅の駐輪場では、電動アシスト自転車は見かけないように思います。

鹿嶋 自宅から最寄り駅までの移動には使われないですね。駅の駐輪場に置きっ放しにするのも嫌だという心理もあるでしょう。ただ自宅と会社の間の往復に使うとなると、スポーティーモデルが通勤用として相当出ています。せっかく自転車通勤するなら時間も短縮できて運動にもなって、というお客さまは多いですね。

―― ある意味そういった使われ方の幅も、デザイン次第のところはあるんじゃないでしょうか。僕だったらママチャリタイプで会社まで行くのはちょっと……。

鹿嶋 デサインの指向もありますが、実性能できちんと選ばれている部分もあります。一見似たようなタイプでも、通勤用には8段変速だと乗りやすい。長距離を乗る方は、ギアの段数が多い方が乗りやすいんです。もっとも、そうやってニーズを取り込んでいくので、バリエーションが増えた(現行モデルは23タイプ)というところはあります。

通勤用でも利用されている8段変速の「PAS Brace XL」
通勤用でも利用されている8段変速の「PAS Brace XL」(クリックで拡大) 出典:ヤマハ発動機

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