次の20年へ、電動アシスト自転車が迎える「第二の夜明け」:小寺信良が見た革新製品の舞台裏(5)(1/7 ページ)
1993年に世界初の電動アシスト自転車「PAS」を発売したヤマハ発動機。この電動アシスト自転車という革新製品はいかにして生まれ、約20年が経過したこれからどのような進化を遂げようとしているのか。小寺信良氏が探る。
皆さんは電動アシスト自転車と聞いて、どういう光景を思い浮かべるだろうか。
筆者はPTAや子ども会の役員をやっていることもあり、保護者の集まりで学校や公民館に行くことも多い。そのとき駐輪場にずらりと並ぶのは、小さい子を乗せるためのシートを装着した、電動アシスト自転車だ。
校区内にある2つの幼稚園がクルマでの送迎を禁止しているので、園バスに乗せるほどでもない近隣のご家庭は、ほとんどが自転車で園児を送り迎えする。その際に活躍するのが電動アシスト自転車というわけである。
すなわち筆者の中では、電動アシスト自転車と言えば“フル装備のママチャリ”というイメージしかない。そんな中、ヤマハ発動機がロードバイクと呼んでもおかしくない、ドロップハンドルのスポーティーな電動アシスト自転車「YPJ-R」を発売し、注目を集めている。
筆者も安物ながらロードバイクを購入してダイエットに筋トレにと活用しているが、そもそも体に負荷をかけるためのスポーツ車に電動アシストをプラスするというのは、何とも本末転倒な印象を受ける。さらには重量を極限まで軽量化することが良しとされるロードバイクの中で、バッテリーやモーターを積んだら重くなるのではないかという懸念もある。
電動アシスト自転車の元祖ともいえるヤマハ発動機の狙いは、どこにあるのだろうか。今回は、同社で電動アシスト自転車の商品企画グループのリーダーを務める鹿嶋泰広氏に、電動アシスト自転車のそもそもから、最新のYRJ-Rに至るまでの流れを伺ってみた。
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