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工場を止めないネットワークの基本機能と、ハブとスイッチの違い工場用イーサネット入門(4)(2/4 ページ)

インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第4回では、工場用イーサネットでも使うハブとスイッチの違いに焦点を当てながら、「基本的なネットワークの機能」を解説します。

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第2層「データリンク層」

 第2層(Layer 2、略してL2)となる「データリンク層」では、物理層の電気信号を意味のあるデータ列として組み立て、「フレーム」と呼ばれる単位で通信します。このフレームを正しく組み立てるために行われる電気信号の誤りの訂正や電気信号の再送要求は、データリンク層における重要な機能です。

 また、イーサネットではデバイスの1つ1つに識別子として割り当てられている「MACアドレス」というものがあります。フレームの中に含まれる送信者情報と宛先情報は、このMACアドレスを用いて記述されています。

 データリンク層の代表的な機器は「L2スイッチ」です。L2スイッチはMACアドレスに表記された送信者情報と宛先情報をアドレステーブルに保持していて、この情報を参照してどの宛先のデータをどのポートから送信すればよいかを判断しています。

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図3 スイッチの機能(クリックで拡大)出典:ネットワンパートナーズ

スイッチ VS ハブ

 スイッチがハブより優れている点は以下に挙げられます。一つ目は、データの送信先を指定して通信できる点です。スイッチは、毎回全ての接続したポートへデータを転送するわけではなく、既知の宛先であれば、送信先のポートを判断し、関係のあるエンドデバイスに限定してデータを送ることができます。不特定の機器にデータを送るのと、特定の機器にデータを送るのでは、後者の方がセキュリティに優れているのは明白です。

 二つ目の優れている点として、スイッチでは帯域幅をポートごとに占有することができるため、他の機器の通信の影響を減らして、データ通信を複数のポートで同時並行的に行うことが可能です。ハブでは決められた帯域幅を複数のポートで共有するので、ハブで同時に処理できる通信データ量は決められた帯域幅に限定されます。つまり、ハブが1対1の通信に向いているのに対して、スイッチは1対Nの通信に適したネットワーク機器であるということができます。

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