「シャープの太陽光事業の競争力強化にまい進」、鴻海の郭会長が明言:製造マネジメントニュース
シャープは、同社を傘下に収める鴻海科技集団総裁の郭台銘氏と副総裁の戴正呉氏による「大切なお客様と取引先の皆様へ」と題したメッセージを公開した。同メッセージでは、エネルギーソリューション事業のリストラや人員削減に関する報道を否定。「シャープの太陽光事業の競争力強化にまい進する」と言明した。
シャープは2016年5月25日、同社エネルギーソリューション事業のWebサイト内で「大切なお客様と取引先の皆様へ」と題したWebページを公開した。シャープを傘下に収める鴻海科技集団総裁の郭台銘氏と、シャープの社長に就任する副総裁の戴正呉氏からのメッセージをPDFファイルで確認することができる。
同メッセージの中で両氏は「ずっと昔からシャープには良い思いを抱き続けておりました。シャープに社名変更する早川電機の時代からです」など、シャープに対する思いをつづっている。
メッセージのほとんどは、各種報道でリストラや人員削減などの計画が伝えられているエネルギーソリューション事業の方向性について割かれている。これらの報道に不安を拭い去るため「私たちは、出資手続き完了後、鴻海の持つ生産技術と全てのリソースを注ぎ込み、シャープの太陽光事業の競争力強化にまい進する所存です」と言明している。
中でも家庭用となるホームエネルギーソリューション事業について「発電した電気を貯めて利用する蓄電池と併せ、最も将来有望な事業です」と期待を寄せる。その核となる技術としては、エネルギーマネジメントとIoT(モノのインターネット)を挙げている。
そして「これらの情報は真実からかけ離れています。私たちは、この事業に完全にコミットしていることを皆様にお伝えします」と続け、エネルギーソリューション事業に関するネガティブな報道を明確に否定した。
そしてエネルギーソリューション事業について以下の2点を「誓約」として表明した。
- シャープブランドの継続、維持、強化
- どこよりも行き届いたアフターサービスの革新的な太陽光とエネルギー関連機器をお届けし、お客様・お取引先の信用を取り戻し、エネルギーソリューション事業を拡大すること
なおこのメッセージは、2016年5月25日に東京都内で行われた住宅用単結晶太陽電池モジュール「BLACKSOLAR」の会見で、質疑応答を行う前に報道陣に配布された。報道陣から多数寄せられるであろう、エネルギーソリューション事業の方向性に関する質問への回答として用意されていたとみられる。
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