カーデザイン基礎の基礎:クルマから見るデザインの真価(10)(4/4 ページ)
外を見ると、さまざまなバリエーションのクルマが走っている。単純化すればクルマの構造自体は共通点が多いが、デザインの要素やサイズの比率によって個性が生まれ、ブランドイメージにも結び付く。「人がどう乗るか」もデザインに深く関わる。こうした「カーデザイン」の基礎を分かりやすく解説していく。
“小型車”と呼ぶか、Bセグメントと呼ぶか
前項で「どんなクルマを創り出すのか」という話が出たので、ここでセグメントというものにも触れておこう。クルマ関連のメディアにおいて、「Cセグメント」とか「Dセグメント」といった分類表現が見られる。
このセグメント、少し前だと「車格」と表現していたものと同じと考えて良いであろう。欧州の自動車雑誌では結構前から見られた分類だが、日本のメディアで使われるようになったのは比較的最近ではないだろうか?
セグメントについて予備知識がさしてなくとも、雑誌などのメディアに書かれている文脈から、クルマのサイズが小さい順にA、B、Cと並んでいるのだなということは分かるかと思う。元は調査会社による分類が始まりの様だ。そこでの分類は、このようになっている。
- Aセグメント:スモールカー
- Bセグメント:スーパーコンパクト
- Cセグメント:ロワーミディアム
- Dセグメント:アッパーミディアム
- Eセグメント:エグゼクティブ
また欧州委員会による分類というのもあり、そこでは、9種類に分類されている。
- A: mini cars
- B: small cars
- C: medium cars
- D: large cars
- E: executive cars
- F: luxury cars
- S: sport coupes
- M: multi purpose cars
- J: sport utility cars (including off-road vehicles)
ここでは、分類方法を覚えるというより「クルマを発明した欧州の人たちの頭の中では、こういった切り口でクルマを位置付けることが根付いているだなぁ」と意識しながら彼らの創るクルマを見たり体験するのがいいのではと考えている。
今回は、カーデザインの周辺にある要素の幾つかに焦点を当て書いてみた。次回は、デザイナーはどういった仕事をしているのかといったことに焦点を当ててみよう。
Profile
林田浩一(はやしだ こういち)
デザインディレクター/プロダクトデザイナー。自動車メーカーでのデザイナー、コンサルティング会社でのマーケティングコンサルタントなどを経て、2005年よりデザイナーとしてのモノづくり、企業がデザインを使いこなす視点からの商品開発、事業戦略支援、新規事業開発支援などの領域で活動中。ときにはデザイナーだったり、ときはコンサルタントだったり……基本的に黒子。2010年には異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。最近は中小企業が受託開発から自社オリジナル商品を自主開発していく、新規事業立上げ支援の業務なども増えている。ウェブサイト/ブログなどでも情報を発信中。
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