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インダストリー4.0で具体化した日独連携、競合を越えた「つながる」の価値(後編)ハノーバーメッセ2016(2/3 ページ)

ハノーバーメッセ2016において第10回となる日独経済フォーラムが開催された。テーマは「実践の場におけるインダストリー4.0」とされ、会期中に発表された日独政府の連携なども含めて、日独の協力体制や土台作りに注目が集まった。後編では、日独両国が特に協調が必要だと語った「中小企業の支援」について紹介する。

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インダストリー4.0で行う「コンピテンスセンター」

 インダストリー4.0などIoTによる製造業革新の動きについては、日本でもドイツでも大企業は自社での取り組みを加速させている状況だ。自社内での単独の取り組みの他、企業力を生かして、大手企業同士が独自で手を結ぶケースなども見られている。今回のハノーバーメッセ2016でも、期間中にシーメンスとパナソニックがライン統合コンセプトの標準化で提携する発表※)を行うなど、デファクトスタンダード構築を意識したような大企業同士の連携の動きがあちこちで起きていた。

※)関連記事:パナソニックとシーメンスがライン統合コンセプトの標準化で提携

 一方でこうした取り組みが加速することで投資能力に限界のある中堅・中小企業が振り回される状況なども懸念されている。ドイツのインダストリー4.0における中小企業の取り組みについて、ドイツ連邦 経済エネルギー省 産業政策局 局長のウォルフガング・シェレメト氏は「大企業同士は自分たちで協力して連携などを進め、活躍している。しかし、産業構造の中では強い立場を取っているはずの中堅・中小企業にとってはリターンが見えづらい状況では投資できないという状況がある。こうしたところに政府としては支援を進めていく必要があると考えている。日本との連携でも中小製造業をアナログからデジタルへと移行させる取り組みを共に探していきたい」と述べている。

 ドイツではこうした動きに対し中小企業の助成プロジェクトなどを推進。特に積極的に取り組むのが中小製造業のIoT活用を支援するための施設「インダストリー4.0コンピテンスセンター」だ。同施設内の設備などを通じて自社工場などでスマートファクトリーを実現する際にどういうことが実現できて、どういうメリットが得られるのかということを検証できるようにしている。ハノーバーメッセ2016でも、このコンピテンスセンターをイメージした展示ホールなども用意されていた。

photophoto ハノーバーメッセ2016会場に設けられたコンピテンスセンターをイメージした施設の様子(クリックで拡大)

 シェレメト氏は「コンピテンスセンターのようにテストインフラを備えた施設を使って中小製造業はテストを進め、実際に自社に導入する際にはすぐに成果の出る形を作ることができる。またこうしたテストラボで得た知見を集めてさらに効果的に中小製造業を支援できるようなシステムや仕組みを生み出すことができる」と述べている。

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