「不良発生率ほぼゼロ」を実現! 精密板金試作の相互的な意思疎通:ママさん設計者の「モノづくり放浪記」(2)(3/7 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回は精密板金試作の専業メーカーのトライアン相互を訪れた。
それでは「プログラム作成専門部隊」のお三方の作業を見てみましょう。
こちらでは3D CADのOneSpace Designerを使って展開データと図面の照合を行っています。
この「OneSpaceDesigner」ですが、複雑な曲げを持つ部品の形状を社員全員が認識できるように、普段はビュワーとしても活用しているとのことです。
こちらはレーザー加工(切断)の面付けデータを作成しているところです。
使う材料と板厚が同じであれば、複数の顧客の複数のデータをこのように面付けして一度にレーザーを走らせれば切断作業を一度に済ませられます。端材も極力小さくできますし合理的ですね。
展開データと図面の照合
こちらでは、主力ツール「SheetWorks」によって展開データと図面の照合を行っています(以下画像の右側)。
これは、通常のSolidWorksにアマダが手を加え、板金加工用のアドインを追加したものです。上画像の左側にあるモニターには同じくアマダの自動プログラム作成ツール「AP100」の操作画面が映っています。
板金は、切削加工と違って板を折り曲げて3次元形状を作っていくものですから、2次元からのスタートなのです。一見楽なように思いますが、厚みを持った金属の板を曲げる時、曲げの外側には伸びが、内側には縮みが生じますから、展開図を作るときには曲げによる伸び値を計算しないといけません。SheetWorks にはAP100と同じ「曲げ伸び値」のテーブルが備わっているので、この2つを連携して使うことで合理的なプログラム作成が出来るようにセットアップされているのです。
SheetWorksでは通常のSolidWorksとは違い、リボン(GUI)には板金加工に特化したコマンドが並びます。
SheetWorksを使って2D DXFの三面図を取り込み、投影によるモデルを作成。その段階でソフトが認識しない絞り形状などは手入力します。そしてモデルデータに板厚の矛盾がないかを確かめて板金展開します。
その後、図面とデータの寸法チェックという地道な作業をした後に、これを元データとしてアマダのAP100へ送りNCプログラムを作成します。
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