「整理・整頓」ができている会社は必ずもうかる!:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(11)(4/5 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する連載「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」。今回は、“整理・整頓・清掃・清潔・躾”から成る「5S活動」のうち、最も重要な「整理・整頓」の意味についてじっくりと解説します。
4.「赤札作戦」は、「整理」の“見える化”である
「赤札作戦」は、バーゲンなどの処分品に付けるビラのことを“赤札”ということから名付けられました。整理の処分対象品に図1の「赤札」を貼り、要らないモノとして表示していく活動のことをいいます。
赤札品は処分品となりますが、以後、赤札品を出さない仕組みづくりでもあります。赤札作戦は、「要らないモノの定義」に沿って、ドンドン赤札を貼っていきます。貼りすぎるということはないので、辺りが真っ赤になるくらいに徹底して実行していきます。赤札作戦は、工場にはびこっている垢落とし作戦です。
- “捨てる”は、「もう、こんな造り方はやめよう!」という、過去を捨てて、心に整理を付ける活動でもある
- 工場全体で実施すること。一部の職場だけで実施すると必ず崩れ始めて元に戻る
- 赤札作戦のリーダーは、全責任を負える工場のトップまたは相当職
- 床や部屋などのスペースも赤札の対象。ロープを張って赤札を付ける
- 当然、書類やファイルなども赤札の対象である
- 全職場を1日から2日程度の短期間で貼りきること。そして、直ぐに赤札品を職場内から排除すること
- 赤札を貼る人は対象職場とは関係のない客観的な視点の第三者が行う
- 疑わしきは、すかさず赤札を貼る。迷ったら捨てる
5.「整頓」とは、探すゼロへの挑戦!
「整頓」の意味を辞書で調べてみると、“整えて落ち着けること”とあります。つまり、「整頓」とは、モノの置き方の標準化です。日々の現場作業を注意深く見てみると、“探す”行動の多さに気付くはずです。どこにある(いる)かと、人、モノ、仕事、治工具類、置き場所など、あらゆるものを探し回っています。また、数える、確かめる、検査や点検するのも立派な“探す”の行動です。
“探すゼロ”のためには、「誰が見ても、一目で分かる」ようにすることです。具体的には、「誰でもすぐに……見付けられる、使える、戻せる」ように、モノの置き方や管理方法を標準化することです。この中で特に注意しなければならないことは、“戻せる”が、確実に実行できる配慮に欠くと「整頓」された状態がすぐに崩れてしまいます。
戻すところの表示がシッカリ明確化されていないと、持ち出したモノが確実に元に戻されてきません。表示方法を工夫し標準化して、取り出したモノを元に戻す際に分かりやすく、確実に元の場所に戻せるようにします。
「整頓」が徹底してくると、実際にモノ探しの時間が大幅に減少し、その便利さが実感できるようになったとか、キレイになったとか、周りから評価されるようになってくると、実践しながら整頓の目的や意義も理解され、「整頓」のスピードも一段と増してくるはずです。換言すれば、成果が実感できるまで、中途半端で終わらせてはならないということです。
5.1 “探す”ゼロとは?
(1)あるべきところにあること
(2)戻すところがハッキリしていること
(3)一目で分かること
モノを隠している扉やふたなどは不要。早速、取り外すこと。ふたが必要なときは透明板に取り換えて、中に入っているモノが見えるようする。また、在庫数量や発注点などもハッキリと示しておく。
(4)すぐに取り出せること
扉や引き出しの鍵は不要。モノを積み重ねて置くとすぐに取り出せない。また、モノを奥深く置いたり、肩より高い位置に置いたり、膝より低い位置に置くと、モノの出し入れにムリな姿勢を強いられるのですぐに取り出せる状態とはいえない。
(5)すぐに使える状態にしておくこと
終業点検を実施して、いつでもすぐに使えるようにしておくこと。始業点検は、本来、砥石のひび割れのように経時変化をする恐れがある場合のみ行う。
5.2 整頓のポイント
整理された要るモノ全てについて「何がどこに、幾つ」置いてあって、要るモノを「いつでも誰にでも、すぐに」取り出せる状態にしておくことが「整頓」のポイントです。モノの置き方は、コンビニの商品陳列のごとく、小物入れのように間口は狭く、奥行きは浅く、たくさんの種類のモノを置けることが効率的です。製品に限らず、部品や工具なども“先入れ先出し”ができる状態で管理することが大切です。とにかく、徹底的にやり抜くことが重要です。
(1)必要なモノはセット供給する
段取り替え治工具の場合、必ず必要な型や治工具と一緒に、ボルト、ナットも含めてセットで次工程(使用場所)に供給できるよう荷ぞろえしておくこと。治工具などの置き方や保管方法は、改善の宝の山である。
- 色別表示(型式別、工程別、機械別、用途別……)
- ロケーション表示(置き場表示)
- 使用対象表示(品名別、工程別……)
- 必要なら、作業手順書も
(2)異常が監視できるポイントはどこか
通路線、区画線は、整然と引くこと。それに沿って、棚、台車、設備をレイアウトする。監督者の座席は自分の受け持ち範囲を一望できる場所に設定する。これは監督者自らが、作業者、設備、棚の現在の状態が正常か異常かを判断できるポイント(位置)であり、“目で見る管理”を実践すること。
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