「整理・整頓」ができている会社は必ずもうかる!:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(11)(3/5 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する連載「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」。今回は、“整理・整頓・清掃・清潔・躾”から成る「5S活動」のうち、最も重要な「整理・整頓」の意味についてじっくりと解説します。
3.「整理」とは、要らないモノを捨てること
「整理」とは、“身の回りには、要らないモノが1つもないようにすること”ですから、最初に行うべきは、要らないモノの定義づくり(選別基準)と、その考え方を全員に徹底することです。進め方のポイントは、「整理」と「整頓」を同時進行しないことです。中途半端な整理の状態では上手く進みません。整理があるレベルまで到達した時点で、整頓を始めるのが「整理・整頓」を上手に進めるコツです。
整理は、繰り返し実行していくことが大切です。最初は捨てるモノの選別基準が甘くなってしまい、整理を一度だけ実施してもなかなかモノは捨てられないものです。整理を繰り返し実施することで「モノの見方」が高まり、本当に必要なモノとそうでないモノとの基準が徐々に明確になってきます。要は、要らないモノは、思い切って捨てることです。
3.1 要らないモノは捨てる
(1)要らないモノの定義づけ
要らないモノの定義として、例えば次のように考えていくことができます。
- 壊れていて、もう使えないモノ
- 壊れていて、修理に出すと買うより高くつくモノ
- もっと良いモノがあるから、もう使わないモノ
- いつ使うか、予定がないモノ
- 今後、要るかどうか迷うモノ(判断に困る場合は“不要”とする)
- 要るかどうか、人によって解釈が違うモノ
- 機械、装置などの中に、使っていない部分がある
(2)捨てる決断をする責任者を決める
捨てる決断を誰がどのように行うかが重要です。責任を持って決断できる人が捨てる基準やルールを作ることが大切です。捨てた後で、捨てた人に責任を押し付けてしまう事態をよく見かけますが、これは最悪です。これでは「5S活動」を推進する担当者は、『とても、やってられない!』といった気持ちになりますよ。また、捨てるのはもったいないなど、「要らない」となかなか言い切れないものです。過去を断ち切るためにも、責任者が基準をキッチリと決めることは極めて重要なことです。
(3)徹底した、“要らないモノの基準”づくり
要らないモノの基準をどの程度、徹底して作成したかで整理のレベルが決定づけられます。要らないモノを突き詰めていくと、身の回りにあるモノは、今日使うモノだけとなります。そうすると、「今日の仕事に使わないモノは要らない」となります。そのためには、今日使わないモノのしまうところ、要るときにすぐに取り出せる置き方の工夫が必要です。
3.2 整理のポイント
(1)「要らない」は時間の概念で、例えば1時間もの間、使わないモノは、その職場やラインには不要なモノであると考えます。そのような工具などは1セットで部品などと一緒に流すという改善案の発想が生まれてきます。
(2)処分するモノが決まったら、管理者が撤去するのではなく、その職場の作業者へ具体的に処分の理由をよく説明して、作業者自ら撤去してもらうようにしてください。“過去との決別”をしなければならないからです。
(3)捨てるといっても、所有権を放棄することで、いったん遠ざけて“置く”ということです。廃棄処分をしないモノは、どこか1カ所に集約して置き、新たなラインで活用していくようにします。使えるモノを前にして現物を見ながら考えると、素晴らしい活用方法や改善のアイデアが案外と浮かんでくるものです。
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