最短約3秒の検査で網膜の血管形態を描出する画像処理技術:医療機器ニュース
キヤノンは、造影剤を用いず、最短約3秒の検査で網膜の血流の状態を可視化し、血管形態を描出する画像処理技術「OCT Angiography」のオプションソフトウェアを発売する。高画質での3D表示が可能で、眼底疾病の応用検査への活用が期待される。
キヤノンは2016年4月7日、画像処理技術「OCT Angiography(アンジオグラフィ)」のオプションソフトウェアを発売した。造影剤を用いず、最短約3秒の検査で網膜の血流の状態を可視化して血管形態を描出するもので、眼科機器の光干渉断層計「OCT-HS100」で利用できる。
先進諸国において失明原因の上位は、加齢黄斑変性、緑内障、糖尿病網膜症だという。これらの疾病を早期発見するために、OCT(Optical Coherence Tomography)や眼底カメラを活用する機会が増えてきている。
今回発売されるOCT Angiographyは、毎秒約7万本の高速スキャンによって、最短約3秒の検査でOCT Angiographyの画像を取得できる。これにより、被検者の負担を軽くできる上に、目が動くことによる画像への影響が軽減され、高精細な画像を得られる。わずか2クリックの簡単な操作で、鮮明な画像を自動的に取得可能だ。また、これまで眼底の血管の状態を観察するために必要とされていた造影剤を使用しないため、アレルギー反応を引き起こすリスクを伴わない。
さらに、縦分解能3μmという優れた解像度で、網膜血管網を高画質に3D表示できる。動静脈や毛細血管の走行の上下関係を鮮明に可視化することで、緑内障診断に必要な視神経乳頭内の毛細血管を評価したり、加齢黄斑変性で見られる脈絡膜の新生血管の位置を特定したりなど、眼底疾病の応用検査への活用が期待されるという。
OCT Angiographyは病院や眼科クリニックでの利用を想定しており、価格はオープンとなっている。
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