アウディが新型SUV「SQ7」にディーゼルエンジンを採用できる理由:エコカー技術(2/3 ページ)
フォルクスワーゲングループのアウディが、2015年の総括と2016年以降の戦略を発表する年次会見を開催。48Vシステムやプラグインハイブリッド車、電気自動車、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンと幅広く新技術を投入していく方針を示した。会見の様子と、新たに技術開発部門 担当取締役に就任したシュテファン・クニウシュ氏へのインタビューを併せてお送りする。
電動化の主力は電気自動車とプラグインハイブリッド車
電動化の主戦場とする電気自動車やプラグインハイブリッド車についてクニウシュ氏は、「開発の速度が変化したことが一切ない」と説明する。「既にプラグインハイブリッド車の『A3 e-tron』を市場に投入しており、2016年内に『Q7 e-tron』を投入、さらに『A4 e-tron』が続く。『A8』や『A6』が次世代モデルになる際には当然、電動モデルの投入も視野に入っている。毎年、最低でも1台のプラグインハイブリッド車を導入していく」(同氏)。
また、電気自動車については「『R8 e-tron』は小ロットながら市場に送り出しており、さらに2018年には電気自動車で500kmの走行距離を実現する『e-tron クワトロ』を発売する方針だ。同じプラットフォームで、燃料電池システムを搭載する『h-tronクワトロ』も、アウディの電動化の戦略の1つだ」(同氏)。
1回の充電で500kmもの長距離を走るためには、当然、リチウムイオン電池の性能向上が重要だ。現在、アウディはLG ChemやSamsung SDIとパートナーシップを結んで、500kmの走行距離を達成するための高密度電池の開発を進めている。この契約には、2020年を目標にしたコストの見通しまで含まれるという。
アウディは、製品ラインアップのうち電気自動車とプラグインハイブリッド車が占める比率を20〜25%に高める方針を発表したが、48Vシステム搭載車はこの“電動化比率”に含まれていない。とはいえ、48Vシステムはリチウムイオン電池を搭載し、モーターと電池の電力だけで走行するEV走行が可能だ。
今回発表されたSQ7 TDIに搭載されたパワートレインは、排気量4lでV型8気筒のディーゼルエンジンに電動スーパーチャージャーを組み合わせる。電動スーパーチャージャーで使用するモーターは250msで7万rpmまで回転数を高められる特殊なタイプだ。これによってオンデマンドでスーパーチャージャーの回転数を高めてエンジンに過給し、瞬時に効率よく出力を高める。
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