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売上高10兆円の目標を撤回したパナソニック、利益体質構築に向け足場固めへ製造マネジメントニュース(3/3 ページ)

パナソニックは、2018年度の売上高目標を10兆円から8兆8000億円前後に修正するとともに「利益成長」をより重視する事業戦略を発表。「成長戦略が軌道に乗りつつある事業で確実に利益を積み重ね、そこに高い収益性が望める事業を付加して、全社として利益成長できる構造を実現する」(同社社長の津賀一宏氏)という。

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各事業部は収益改善/安定成長/高成長の3つに分類し戦略を明確化

 一方で、事業基軸の経営を行っていく同社にとって、4つの事業領域を構成する個別事業部での取り組みも重要となっている。

 各事業部は立地や競争力に応じた事業戦略の実行を進めており、収益改善事業、安定成長事業、高成長事業の3つに分類し、戦略をより明確にしていく。収益改善事業(主にICT系、デジタルAV系の事業)は売り上げを追わず、徹底して利益率アップを狙う。安定成長事業は成長市場を持つ事業であり、競争力の強化で他社に打ち勝ち、業界平均を上回る成長を実現することで着実な売り上げ/利益を創出する。高成長事業は、成長市場を持つ中でも思い切ってリソースを集中できる事業で、売り上げ/利益の成長をけん引していく。これらを実行することで全社の成長を実現する。

収益改善事業/安定成長事業/高成長事業に分けて戦略を明確にする
収益改善事業/安定成長事業/高成長事業に分けて戦略を明確にする(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 高成長事業のリソース集中に関して代表的なものとして、家電事業ではアジア重点国におけるプレミア商品展開と、インド/アフリカ市場攻略に向けた商品/販売基盤の強化を上げる。住宅事業では、国内のリフォーム、エイジフリーの事業を伸ばすため拠点拡大を進める。さらにアジアで、パナホームと現地デベロッパーの協業などにより街づくり事業を加速させる。車載事業は、スペインのフィコサ・インターナショナルとの協業により次世代コックピットで成長を目指す。また、2018年度以降のさらなる成長に向けて、ADAS(先進運転支援システム)や車載電池の開発強化や生産拠点の拡充にリソースを重点投下する。B2Bソリューション事業では、航空機産業向けの事業や米国のハスマンの買収によって大きな柱となる食品流通事業に続く、新たな柱となる事業を創造していく。これらに向けて積極的な先行投資とともにM&Aを中心とする1兆円規模の戦略投資(通常投資の枠組みを超えた投資)を継続する。

 これらの取り組みを推進することにより、2018年度の売上高目標は従来の5事業領域体制における10兆円から、家電2兆3000億円、住宅1兆6000億円、車載2兆円、B2B事業2兆9000億円の合計8兆8000億円へと変更する。また、営業利益目標は、家電/住宅/車載の3事業による3000億円とB2Bソリューション事業の2000億円で合計5000億円。そして当期純利益は2500億円以上をグループ経営目標として定めた。

2015年度と2018年度の事業領域別の売上高見通し2015年度と2018年度の事業領域別の営業利益目標 2015年度と2018年度の事業領域別の売上高見通し(左)と営業利益目標(右)。デバイス事業が減るため売上高は下がるが、営業利益は当初目標と同じ5000億円を維持する(クリックで拡大) 出典:パナソニック

2016年度はどうするのか

 2016年度の経営目標は、ICT関連事業が引き続き低迷することなどを想定し、売上高は前年度並みの7兆5000億円、営業利益は同350億円減の3750億円としている。この減益要因は、将来の売り上げ/利益成長につなげるための車載/住宅事業の先行投資による固定費増加が大きな要因となっている。

2016年度の経営目標の考え方2016年度の位置付け 2016年度の経営目標の考え方(左)と位置付け(右)(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 津賀氏は「2016年度に成長への足場固めを行い、2017年度には増収増益を実現。2018年度には増収増益の体質を定着させる」とし、目指す姿の達成に意欲をみせた。

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