トルクセンサーの校正証明書、発行にかかる期間を2カ月から10日間に短縮:設計開発ツール
HBMは、自動車業界向けに最大10kNmまで対応したトルクセンサー校正サービスを日本国内で開始すると発表した。日本品質保証機構の中部試験センターにドイツ物理工学研究所で精度証明を受けたトルク基準機を貸与し、自動車などの動力部の精度試験に使用するトルクセンサーの校正証明書の発行に対応する。
HBMは2016年3月25日、自動車業界向けに最大10kNmまで対応したトルクセンサー校正サービスを日本国内で開始すると発表した。日本品質保証機構の中部試験センターにドイツ物理工学研究所で精度証明を受けたトルク基準機を貸与し、自動車などの動力部の精度試験に使用するトルクセンサーの校正証明書の発行に対応する。従来、校正証明書の発行には2カ月を要していたが、これにより10営業日以内に短縮できるとしている。2016年6月から中部試験センターのトルク基準機を本格稼働させる。将来的には大型ディーゼルエンジン向けに20kNmまで対応する計画だ。
日本品質保証機構の中部試験センターに貸与するのは、ビルドアップ方式のトルク基準機だ。ビルドアップ方式は、一般に最も高精度な校正が可能だが、設定の変更や保守に時間や工数を要する。また、大きな重りを扱うため、作業者の負担も大きい。これに対し、HBMは校正の負担が少なく、相対拡張不確かさが0.04%と「国内最高であることが証明されている」(HBM)という。
トルク基準機で重要な役割を果たす参照トルク変換機はHBM製で、ドイツ物理工学研究所で定期的に再校正し、サービス品質を確保する。また、中部試験センターに導入したトルク基準機によって、ビルドアップ方式の普及拡大につなげる。
日本品質保証機構は2016年4月までにトルク校正機関として米国試験所認定協会(A2LA)から認定を受け、同年6月から本格稼働する。校正サービスでは、HBM製以外のトルクセンサーも対象とする。
トルクセンサーの校正証明書は、精度試験の広範な測定範囲でも高い精度を確保できるトルクセンサーを購入するために役立つ。自動車メーカーが開発期間を短縮しながら高精度な設計を進めたい一方、校正証明書は日本国外で発行するため、入手できるまで長期間を要するのが課題となっていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 電動システムのトルク/回転数と電力/電圧を同期して収集できる計測システム
ドイツの計測器メーカーHBMは、電気自動車やハイブリッド車に搭載されている電動システムの、二次電池とインバータの電圧/電流、モーターのトルク/回転数について、全てのデータを同期して取得することが可能な計測パッケージ「eDrive」を発表した。 - マツダのSKYACTIVターボエンジンは“意味ある”過給ダウンサイジング
これまでガソリンエンジンの過給ダウンサイジングに否定的だったマツダが、2016年春に北米で発売する新型「CX-9」に、「SKYACTIV-G」で初となるターボエンジンを搭載する。マツダ 常務執行役員の人見光夫氏は「“意味ある”過給ダウンサイジングができる条件がそろったからだ」と理由を説明する。 - ホンダの新型「シビック Type R」、新開発の直噴ダウンサイジングターボを搭載
ホンダは、小型車や中型車に最適な直噴ガソリンターボエンジン「VTEC TURBO」を新開発した。2015年に欧州市場での発売を予定している新型「シビック Type R」は、排気量2.0lモデルのVTEC TURBOを搭載する見込みだ。 - スズキが「デュアルジェット エンジン」を新開発、「スイフト」の燃費を2割向上
スズキは、排気量1.2l(リットル)のガソリンエンジンを新たに開発したと発表した。名称は「デュアルジェット エンジン」で、1気筒当たり2本のインジェクターを装備することで、燃焼効率の向上と各種損失の低減を実現した。同エンジンを搭載する小型車「スイフト」のJC08モード燃費は、従来比21%向上し26.4km/lを達成した。 - トヨタの新開発アトキンソンサイクルエンジン、「マツダやホンダより高性能」
トヨタ自動車が開発した「高熱効率・低燃費エンジン群」は、同社がハイブリッド車専用エンジンに採用しているアトキンソンサイクル化や高圧縮比化の技術を、通常のガソリンエンジンにも適用したものだ。しかし、走行モーターを使わない通常のガソリンエンジンに求められる走行性能を確保するには、さまざまな工夫が必要だった。