ゲノムワイド関連解析処理を従来比約400倍高速化する技術を開発:医療機器ニュース
富士通研究所は、ゲノム上の変異情報と、疾患や生活習慣などによる環境情報との関連性をデータベース上で解析する際に、従来手法に比べて約400倍高速処理する技術を開発した。
富士通研究所は2016年3月15日、ゲノム上の変異情報と、疾患や生活習慣などによる環境情報との関連性をデータベース上で解析する際に、従来手法に比べて約400倍高速処理する技術を開発したと発表した。
現在、ゲノム医療の普及により、ゲノム・遺伝情報と臨床・環境情報を組み合わせて解析し、遺伝要因と環境要因の関連性を探索する研究が行われている。こうした研究では、ゲノム情報をデータベースに格納して処理するが、膨大なゲノムデータを扱うため、処理に時間がかかるという課題があった。
同研究所は、数十万以上の遺伝型と疾患や薬効などの関連性を統計的に調べる「ゲノムワイド関連解析」を高速化するため、データベース上でゲノム情報の高速な集計処理を可能にするデータ構造(以下、ゲノム型)とその処理方法を開発した。
開発されたゲノム型では、1人のゲノム情報をデータベース上の1列(カラム)で格納するデータ構造を採用。これにより、1つの問い合わせで、個人差の要因となる変異個所(バリアント)情報を同時に集計することができ、1バリアント当たりの集計処理性能が向上した。
また、バリアントの種類は大半が計算機上で2ビット長のコードに置換できるが、3ビット以上の複雑なコードに置換されるものも多い。そのため、複数のビット長が存在する可変長データ構造を扱うことで、集計処理に時間がかかっていた。同研究所では、各バリアントの情報を固定ビット長にコード化して格納し、集計処理する方式を考案。高速な集計処理を可能にした。
同技術により、一般的な計算機上において、ゲノムワイド関連解析が短時間で実行可能になる。さらに、解析時間の制約から、調査するバリアントを限定していたことで見逃されていた疾患との関連性についてもカバーできるようになるという。今後は、集計処理のさらなる高速化と運用上必要となる機能の実装を進め、医療機関との共同研究などを経て、ヘルスケアシステム事業本部のソリューションに適用する予定だ。
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