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腸に貼って手術後の癒着を防止するナノばんそうこうを発表医療機器ニュース

防衛医科大学校、早稲田大学、名古屋大学の共同研究グループが、腸の癒着を予防できる膜厚80nmの「ナノばんそうこう」を開発した。感染を増悪させる作用がないため、これまで有効な対策がなかった、感染がある腹部の手術にも使える可能性がある。

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 防衛医科大学校、早稲田大学、名古屋大学の共同研究グループは2016年3月7日、膜厚80nmの薄膜からなるナノばんそうこうで、腸の癒着を予防できるとの研究結果を発表した。成果は同月3日付の英外科学会誌「British Journal of Surgery」電子版に掲載された。

 腹部の手術の後、時に腸が癒着し、食事がうまく取れなくなることがある。このような場合、患者の生活の質(QOL)がひどく低下してしまい、特に小児の場合は成長に必要な栄養が取りづらくなるという問題がある。

 また、腸に穴が開いて起こる穿孔性腹膜炎では腸の癒着が起こりやすく注意が必要だが、現在、使われている癒着防止材は、穿孔性腹膜炎のような感染がある患者には適応せず、これまで有効な治療法がなかった。

 これまで防衛医科大学校の研究グループは、早稲田大学との共同研究で、細胞膜と同じくらい薄い膜厚80nmのシートを開発し、創部の閉鎖に利用できることを報告してきた。今回、名古屋大学小児外科が加わり、マウスによる実験で、この「ナノばんそうこう」を貼ることにより腸の癒着を防止する効果を確認。世界で初めて報告した。

 さらに、この「ナノばんそうこう」は体に吸収されるポリ乳酸で作られており、感染を増悪させる作用もないため、感染がある腹部の手術にも使える可能性がある。そのため、従来有効な対策がなかった穿孔性腹膜炎時の腸癒着の予防、とくに小児での腸癒着の予防に役立つことが期待されるという。

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ナノばんそうこう(中央の透明四角部分)をマウスのしょう膜が欠損した小腸に貼るところ

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