幾何公差と寸法公差、測定方法は何が違うの?:寸法を実感する! 測定講座(2)(2/3 ページ)
幾何公差や寸法測定の課題に対する幾つかの取り組みを紹介していく本連載。第2回は幾何公差と寸法公差での測定方法の違いについて解説する。
寸法公差と幾何公差の公差域の違い
次に、図3で寸法公差と幾何公差の公差域の違いに関して図解で示します。
これを、測定の視点で注目すると、寸法公差は2点間測定が基本となり、つまり、特に指示のない場合は任意の2点間距離を測定すればよいということになります。従って、図4のように曲がったものが出来上がっても、寸法公差指示だけでは不良品とはいえないことになります。
こういったことをカバーするのに幾何公差が有効で、この例では、図5のように真直度という形状公差を付記することで、曲がりを0.08以内に規制できます。
ここには、「独立の原則」というものがあって、寸法公差の10±0.05と真直度の0.08は互いに独立して、この部品の大きさと姿勢を規制することになります。
形体と規制
早速真直度が登場したところで、今回は図1の表の中の「形状公差」に注目してみます。
「形状公差」の仲間は、文字通り形体の形状に関する公差を指示します。ここで、「形体」という用語が出てきましたが、今後も頻繁に登場しますのでなじんでください。形体とは、CADを操作する方にはなじみがあると思いますが、点、線、穴、円筒、平面、さらには中心軸、中心平面など幾何要素のことを言い、英語では「Feature」で、CADシステムの中でも、フィーチャーという表現がされていると思います。
見ての通り、真直度、平面度、真円度、円筒度、線の輪郭度、面の輪郭度と並んでおり、「おなじみのものもあるけど、覚えるのも大変」と思うでしょうが、心配無用です。実は、幾何公差はさすがグローバル規格だと思える配慮がされています。記号の形を見れば一目でその意味するところが想像できるようになっているのです。真直度は、記号「−」で、まさに対象の形態の真っすぐな度合いを規制します。平面度は平らな度合い、真円度は丸さの度合い、円筒度は円筒の度合い、輪郭度は設計形状からのはずれ度合いを規制します。全て、設計者が設定した形状(CAD全盛時代の今や、それはCADのモデルといっても過言ではありません)からどれだけ誤差があるかを指示しているのです。
真円度と円筒度の違い、線の輪郭度と面の輪郭度との違いは似ています。両方とも前者が「任意の断面」に対する規制に対して、後者は「対象の面全体」への規制となっています。
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