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東芝メディカルの売却益5900億円、“第三者”を介して東芝が年度内計上へ医療機器ニュース(1/2 ページ)

東芝とキヤノンは、東芝からキヤノンに東芝メディカルシステムズの株式を譲渡するための契約書を締結したと発表した。譲渡金額は約6655億円。東芝は、東芝メディカルシステムズの株式売却を、MSホールディングという“独立した第三者”を介することで、2015年度内に約5900億円の売却益を見込んでいる。

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 東芝とキヤノンは2016年3月17日、東芝からキヤノンに東芝メディカルシステムズの株式を譲渡するための契約書を締結したと発表した。キヤノンは東芝メディカルシステムズの全株式1億3498万株を取得する。取得金額は約6655億円。東芝は同年3月9日、東芝メディカルシステムズの売却に関する独占交渉権をキヤノンに付与することを発表していた。独占交渉権の有効期間は3月18日までだったが、その前日に株式の譲渡契約を締結したことになる。

 キヤノン側の発表文では、東芝メディカルシステムズの買収によって得られる、今後の成長への期待が示されている。キヤノンは、2016年から推進する新5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想」のフェーズVにおいて、「戦略的大転換を果たし、新たなる成長に挑戦する」ことを基本方針としている。特に重要戦略と定めている「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」のうちお「安心・安全」領域におけるヘルスケア事業が次世代の柱の1つになっており、CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)、超音波画像診断装置などの画像診断装置事業で有力な東芝メディカルシステムズをその中核に据えられるからだ。

 キヤノンは東芝メディカルシステムズの子会社化によって、「新分野への進出の加速」「生産技術の共有によるさらなる品質向上」「開発力強化による事業領域の拡大」という3つの効果が得られるとしている。

 「新分野への進出の加速」では、東芝メディカルシステムズの画像診断装置事業をコアに、M&Aを含めた戦略投資を通じて、体外診断事業および次世代医療ITなどのさらなる事業強化、バイオメディカル事業の強化を推進できるとしている。

 「生産技術の共有によるさらなる品質向上」では、キヤノンの高い生産技術を活用して、東芝メディカルシステムズの製品力のさらなる強化を期待している。

 これら2つの効果は、キヤノンのリソースで東芝メディカルシステムズの事業を成長させることが主眼になっている。一方、「開発力強化による事業領域の拡大」は、キヤノンが高いシェアを持つX線撮影用FPD(フラットパネルディテクタ)や国家プロジェクトで開発を進めている新技術を基にした製品開発を、東芝メディカルシステムズの研究開発力を生かして促進することが期待されている。

キヤノンが国家プロジェクトのもとで開発を進めている光超音波トモグラフィー装置のモックアップ
キヤノンが国家プロジェクトのもとで開発を進めている光超音波トモグラフィー装置のモックアップ
「Breast CT」の外観「Breast CT」の外観 乳がん検査を行うマンモグラフィーをCTで行える「Breast CT」。X線撮影用FPDの技術などがベースになっている(クリックで拡大)
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