人工知能を用いた知財戦略支援システムの提供を開始:製造ITニュース
UBICは、人工知能を用いた知財戦略支援システムの提供を開始した。トヨタテクニカルディベロップメントとの共同開発によるもので、解析した文書を点数付けで仕分けすることで調査の着手に優先順位がつき、特許の分析業務を大幅に効率化する。
UBICは2015年10月29日、トヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)との共同開発による、人工知能を用いた知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER」(PATENT EXPLORER)の提供を開始した。先行技術調査や無効資料調査など、特許の分析業務を効率化するシステムだ。
PATENT EXPLORERは、UBICとTTDCが、2014年12月に発表して以来、両社で進めてきた共同開発を製品化したもの。TTDCが実際の特許分析調査のケースに基づいて、スコアリング手法の検討とフィードバックを行い、UBICが人工知能の調整を繰り返しながら、完成度を高めてきた。
PATENT EXPLORERの特許関連書類の処理は、「学習・解析・仕分け」というシンプルな3ステップ。見つけたい文書(発明提案書や無効化したい特許資料など)の内容を「教師データ」としてUBICの人工知能に学ばせると、人工知能は対象のファイルを解析し、点数付けして文書を仕分けする。
その結果、教師データと関連の高い順に文書が並ぶので、調査の着手に優先順位がつき、特許関連文書のレビュー効率が格段に向上する。開発時において、平均で約330倍、最大で約3000倍のレビューの効率化を達成したという。
UBICの人工知能は、「Landscaping(ランドスケイピング)」という機械学習の手法によってデータを解析する。Landscapingは少量の教師データをもとに、膨大なデータを解析し判断できることを特徴としており、「必要な」教師データだけでなく、「不要な」教師データも学習して判断するため、精度と網羅性の高い解析ができるという。
UBICでは、メーカーを中心とした企業の研究開発部門、知財部門、学術機関、特許事務所などに対し、PATENT EXPLORERを提供していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業で人工知能はどう使うべきなのか
日本IBMとソフトバンクは、自然対話型人工知能「ワトソン(Watson)」の日本語版の提供を開始する。自然言語分類や対話、検索およびランク付け、文書変換など6つのアプリケーションをサービスとして展開する。 - 「学び続ける小さな人工知能」を実現する、組み込みボード「NVIDIA Jetson TX1」
NVIDIAは開発プラットフォーム「NVIDIA Jetson TX1」の国内販売を開始する。GPUによる画像処理はもちろんのこと、CUDAプラットフォームを利用することで実機にデプロイした後も学び続けるディープラーニングを構築できる。 - 明日の出荷は“人工知能”との対話で決めろ! クラウド型「ワトソン」提供開始
IBMは新たに自然対話型人工知能「ワトソン」によるデータ分析をクラウドサービスとして利用可能な「IBM Watson Analytics」の提供開始を発表した。 - “気付いていない”好みも探し出す、人工知能ロボット「Kibiro」
人工知能により、利用者の好みに応じた提案をするコミュニケーションロボット「Kibiro」をUBICとヴイストンが開発した。ランドスケーピングと行動情報科学を組み合わせ、“気が付いていない好み”まで提案する。 - 「コンパクトな人工知能」実現へ、組み込み機器でディープラーニング
三菱電機がディープラーニングを組み込み機器単体でも実用可能なものとする手法を開発。自動車や産業用ロボット、監視カメラなどへの「人工知能」搭載を進める。