クルマは5Gのキラーアプリになり得るのか:Mobile World Congress 2016レポート(2/4 ページ)
「モバイルの祭典」として知られる「Mobile World Congress(MWC)」。今回のMWC2016では次世代移動通信システムである「5G」がテーマになっていた。いまだバズワード的にしか語られていない5Gだが、そのキラーアプリケーションとして期待されているのが「クルマ」である。MWC2016でも、クルマと5Gを絡めた講演や展示が多数あった。
ボルボとエリクソンのスウェーデンタッグがクルマ分野で存在感
ネットワーク設備ベンダーのEricsson(エリクソン)ブースの招待客専用エリアには、Volvo Cars(ボルボ)のクルマ関連の展示が行われていた。ボルボはエリクソンのコネクテッドカープラットフォームを採用して自社の車載情報機器を展開している。
MWC2016では、車載情報機器の他に、ボルボからカーシェアリングを実現する新たなソリューションが紹介された。それはボルボのアプリをダウンロードすることにより、スマートフォンをクルマの鍵として利用しようという技術だ(関連記事:ボルボのクルマはスマホでドア開錠やエンジン始動が可能に、2017年から)。スマートフォンとクルマはBluetoothで通信が行い、デジタルキーが送信される。セキュリティはエリクソンの技術を採用しているそうだが、詳細については非公開だとしている。
このデジタルキーにより、ドアの施錠/開錠を実現する他、クルマのエンジンをスタートすることができる。さらに指定した特定期間において、デジタルキーを他の人に貸すことも可能だ。アプリから鍵をデジタルキーを貸す人を選択し、送信ボタンを押すとほぼリアルタイムにキーが相手に届けられる。相手はその一時的な鍵を用いてクルマを使用することができる。
この技術はレンタカーにも応用される。借りたい車をアプリから選ぶことで、期間中利用可能なデジタルキーが送られてくる。この仕組みは2017年から利用可能だそうだ。なお、スマートフォンのバッテリー切れなどに備え、物理的な鍵も同時に提供する。
このような技術は家庭のドア向けのソリューションとして既に数多く登場している。ただし、クルマに活用することによって、単にレンタカーやカーシェアリングへの応用範囲が広がるだけでなく、例えば宅配ボックスの代わりとしてクルマのトランクを活用するような新たなサービスも可能となる。クルマへのデジタルキーの応用範囲は今後かなり広がりそうだ。
このように、フォードやボルボなどの自動車メーカー各社は、クルマのネットワーク化に合わせて、クルマを活用したサービスやプラットフォームを提供し、クルマの価値を高めつつ新たなビジネスモデルを構築しようという動きをみせている。
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