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「人工知能」が「人工知能」と呼ばれなくなるまであと何年?電子機器設計/組み込み開発 メルマガ 編集後記

何度目かの人工知能ブームですが、「人工知能を人工知能と呼ばなくなる日」が来てこそ、ブームから定着のフェーズに入るのではと思うのです。

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 この記事は、2016年2月22日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたMONOist/EE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。


 三菱電機が年1回開催している「研究開発成果披露会」にて、新たに発表された「コンパクトな人工知能」の説明を聞いてきました。

 これは人工知能(正確にはディープラーニング)の機能を、高い処理能力を持つサーバ側ではなく、車載機器や監視カメラ、産業用ロボットなど組み込み機器に持たせるというもので、処理対象となるデータを組み込み機器側にて類型化&効率化を行い、全体としての演算量と使用メモリ量を削減するという手法で実現します(関連記事:「コンパクトな人工知能」実現へ、組み込み機器でディープラーニング)

 IoTにおけるフォグコンピューティング(処理をクラウドに一存するのではなくゲートウェイやエッジデバイスで分散して処理を行う手法)を人工知能の実装に応用したともいえる考え方で、全てのデータをサーバに渡さないために応答性に優れリアルタイム性の求められる用途に向く他、全体としての低コスト化、セキュリティの確保も容易だとしています。

三菱電機の開発した「コンパクトな人工知能」
三菱電機の開発した「コンパクトな人工知能」

 同社では用途として自動車やFA機器、監視カメラなどを挙げていますが、これ以外にも冷蔵庫や電子レンジといった家電や業務用空調、エスカレーター、人工衛星なども挙げられており、さまざまな領域への適用を狙うとしています。

 確かに三菱電機では「人工知能」という文字を使っていますが、発表された技術は正確にいうと「小リソースでのディープラーニング実行環境」であり、一般にイメージされるような「(疑似人格的な何かを指す)人工知能」とは違います。ディープラーニングはあくまでもデータを元にコンピュータが特徴量を作り出し、推論の精度を高める手法です。

 ディープラーニングを用いることで、コンピュータがデータから「抽象的な何か」を見いだし、人間で言う「気付きを得る」ことができるのは既に「Googleの猫認識」などで実証されていますし、気付きを得ることが人工的な人格(文字通りの人工知能)の実現に近づくことも想像できます。

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