機械要素がもりもりのCerevoの「ドミネーター」と開発スタッフの設計力:ママさん設計者、製品発表に突撃(2/3 ページ)
家電ベンチャー Cerevoの記者発表に、MONOistの連載筆者 藤崎淳子氏が突撃! アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」の大ファンで設計者でもある藤崎氏が、同作品に登場する特殊拳銃「ドミネーター」を再現したスマートトイの量産設計や、設計者の創造性とコミュニケーション力について聞いた。
そして、最も開発スタッフを苦しめたのは、変形の駆動源であるギヤードモーターでした。「汎用品では変形動作を数十回繰り返したところで壊れてしまう……」(石井氏)。ドミネーターはギヤードモーターなしでは変形出来ませんから、この壁はどうしても超えなくてはなりません。そこへ日本電産から協力の申し出があり、本製品のためだけにカスタムした専用ギヤードモーターを提供していただくことになり、それを採用したことで耐久性の課題が一気に解決したのです。
その後、5000回以上の変形動作テストを経て完成の手応えを得るに至ったようです。開発スタッフのご苦労がしのばれますね……。
取材のキーワードって?
今回の取材で意識した1つのキーワードとは「機械要素」です。機械要素とは、機械を構成する要素全てのことです。「部品を固定するもの」「回転運動を伝えるもの」「エネルギーを蓄えたり、緩衝する働きをしたりするもの」「運動方向を変換させるもの」など、その言葉の定義は幅広いのですが、いずれもシンプルな部品の組み合せでできています。一見複雑に動く機械でも、分解してみるとその機構は単純な機械要素の組み合わせでできていることが分かります。機構設計の目的は「要求した動作を実現すること」ですから、設計現場では当然、これら機械要素の知識は欠かせません。
今回のドミネーターでは、2つのギヤードモーターを駆動源にして、バネ、歯車、リンク、カムといった機械要素を多用した機構であの変形を実現しています。とりわけ、リンクやカムは規格化された汎用部品とは違って、機構設計の段階で設計者が独自にメカニズムを考案して部品設計を行うタイプの機械要素です。これを多用しているということは、Cerevoの開発スタッフたちのレベルの高さがうかがえます。
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