2016年のデトロイトショーを彩った和製スポーツカーの競演とセダンの復権:デトロイトモーターショー2016 レポート(2/6 ページ)
「デトロイトモーターショー2016」では、和製スポーツカーの競演や、ピックアップトラックの各社の新モデル、そしてセダンの復権が垣間見えた。各社のエコカー開発競争や、ディーゼルエンジンの排気ガス不正問題と向き合うVolkswagenグループの姿勢もうかがえた。華やかさを取り戻しつつあるデトロイトモーターショーを振り返る。
豊田社長「私のミドルネームはレクサスです」
2016年のデトロイトショーのもう1つの目玉は、トヨタ自動車のレクサスブランドとホンダのアキュラブランドによる和製スポーツカーの共演だ。レクサスのフラッグシップクーペとなる「LC500」の発表に当たり、トヨタ自動車社長の豊田章男氏がレクサスのプレスカンファレンスに登壇した。「デスクに張り付くだけの経営者ではなく“マスター・テスト・ドライバー”として、クルマ作りに関わっていたい。私の名字がトヨタなのは皆さんご存じでしょうが、実はミドルネームは”レクサス”なのです」というしゃれっ気のある豊田氏の発言に、来場したメディアが湧いたのは言うまでもない。
世界初公開されたLC500の原型となったのは、2012年のデトロイトショーで発表された「LF-LC」だ。4年前に発表されたLF-LCはデザインスタディーゆえにボディがワイドで車高も低かったが、LC500の開発では、そのデザイン性を損なわずに市販車のディメンションに落とし込んだ。重心を低めたFR(後輪駆動)用シャシーの上に最高出力475ps/最大トルク530Nmを生む排気量5l(リットル)のV型8気筒エンジンを搭載し、スポーティな走りを実現したという。加えて内装の質感やオーディオなどにもこだわりを見せる。
覇を競うように、ホンダのアキュラブランドからも話題のスポーツカー「プレシジョン・コンセプト」が登場した。ロングノーズにショートデッキという、いかにもスポーツカーらしいフォルムは北米のデザインチームの手によるもの。アキュラの顔である“ダイヤモンドペンタゴン”のグリルが個性を放つのはもちろん、Bピラーを隠して観音開きのドアとすることにより、独特な造形の内装が強調されている。室内は異素材を組み合わせたり、オーディオシステムをドアトリムのウッドの内側に隠して配したりと細部に至る作りこみがなされている。
さらにもう1つの和製プレミアム、日産自動車のインフィニティブランドが次期「スカイラインクーペ」となる「Q60」を世界初披露する場にデトロイトショーを選んだのも特筆すべきだ。パワートレインは304ps/405psの2種類の最高出力を持つ排気量3lのV型6気筒ユニットと、最高出力211psの排気量2l直列4気筒ターボの3機種だ。いずれも7段ATと組み合わせる。ステアバイワイヤが2世代目になった点にも注目だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.