国内医療用診断装置市場はレッドオーシャンなのか
不正会計問題から厳しい業績に陥っている東芝。負債の穴埋めやNANDフラッシュメモリなど注力分野へのキャッシュを生み出すため、優良子会社と言っていい国内医療機器大手の東芝メディカルシステムズの株式を売却する方針を決めています。併せて、東芝メディカルシステムズを中核とするヘルスケア社の廃止も決定しました(関連記事:東芝がヘルスケア社を廃止へ、リストバンド型センサーは売却も)。
この東芝メディカルシステムズの買収候補として幾つかの社名が報道で出ていました。日立製作所、ソニー、富士フイルム、コニカミノルタ、キヤノン、三井物産などです。東芝が2016年2月4日に行った2015年度第3四半期決算の会見では「1次入札から2次入札へ移行するところ。2次入札では非常に(社数を)絞った形でお願いしている」「現状報道されている額(4000億〜5000億円)より(売却額は)高くなる」などとコメントしています(関連記事:赤字7100億円、事業売却急ぐ東芝)。
当初出た買収候補のうち、東芝メディカルシステムズと同じく医療用診断装置の国内大手となるのが日立製作所です。X線や超音波、CT、MRIなどを扱っており、東芝メディカルシステムズを買収すれば、一気に国内シェアトップ、グローバルでもかなりの高シェアになります。しかし、東芝と同日に行った決算会見では、買収に向けた入札に参加しなかったことを明らかにしています。
その理由を端的に示したのが、グローバルの医療用診断装置市場でトップクラスのシーメンスヘルスケアです。
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