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ヘッドランプ進化の歴史、シールド式からハロゲン、HID、LED、そしてレーザーへいまさら聞けない 電装部品入門(23)(3/5 ページ)

自動車が夜間走行する際に前方を照らすとともに、その存在を他の車両や歩行者に知らせる役割も果たすヘッドランプ。かつて北米で義務付けられていたシールドビーム式から、ボディ内部に格納できるリトラクタブル式、ハロゲン、ディスチャージ、近年採用が拡大しているLED、そして次世代技術のレーザーまでを総ざらえする。

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フィラメントがない! ディスチャージランプ

 しかし、ハロゲンランプに次いで登場したディスチャージランプの登場は、夜の視界を劇的に向上させました。

 ディスチャージランプは「HID(High Intensity Discharge)ランプ」や「キセノンランプ」とも呼ばれたりします。フィラメントを用いた熱源による発光ではなく、アーク放電によって光源を得る構造を持ったヘッドランプと認識してください。

 ハロゲンランプが黄色っぽい光を放射するのに対し、ディスチャージランプは青白い光を放射します。

ディスチャージとハロゲンを組み合わせたヘッドランプユニット
ディスチャージとハロゲンを組み合わせたヘッドランプユニット。ディスチャージ側(左)が青白く、ハロゲン(右)は黄白色になっている

 フィラメントがないため、従来のバルブと比べると長寿命かつ消費電力も少ないのが特徴です。ハロゲンランプと違って消灯状態から点灯状態になるまでに結構な時間を要します。

ディスチャージランプのバルブ
ディスチャージランプのバルブ

 この特性は、瞬時に点灯する必要があるパッシングを含めたハイビームとして使用できないことを意味します。ロービームはディスチャージ、ハイビームはハロゲンといった組み合わせが一般的と言えるでしょう。ただ、最近ではバルブの後ろに設置されている反射板の角度を変化させることでハイビームとして使用するパターンも出てきていますね。

 ディスチャージランプはハロゲンランプよりも遠方まで照らすことが可能で、筆者も初めて体感した時は「夜間でもこんなに明るく見えるのか」と感動した記憶があります。

 先ほど“青白い光”と表現しましたが、この色合いは色温度と呼ばれ、温度が高ければ高いほど青色に近づきます。

 カスタマイズの一環として青色を強調した色温度に変更している方もまれに見受けられます。しかし一般的には、6000K(ケルビン)と呼ばれる色温度以上になると法令で定められている前照灯の色(白色)ではなくなるため、公道を走行することができません(車検も不合格になります)。

 実用面においても、青色に近くなればなるほど雨や霧、雪などに反射し、逆に視界が悪くなります。さらに通常時の視認性も低下するため、見た目の雰囲気だけにこだわって装着されるカスタマイズと言えます。

ヘッドランプの凍結対策になるハロゲンランプの高い温度

 筆者の経験では、比較的緯度が高い寒冷地ではハロゲンランプが好んで装着されている傾向があると認識しています。

 霧などの悪天候時の視界確保はもちろん、ヘッドランプレンズの温度がハロゲンランプの方が高いため、ヘッドランプの凍結による視界不良を避けることができるからです。

 カスタマイズする前からこれらを理解していればまだ良いと思いますが、これからカスタマイズをお考えの人にはお勧めしません。

 既に青色傾向が強いヘッドランプバルブにへカスタマイズされている場合は、安全のためにもう少し色温度が低い(白に近い)ものへの変更を強くお勧めいたします。

 ただし、正しい知識を持たずに交換作業を行うことは絶対に避けてください。

 仮に正しく取り付けられていなかった場合、ハロゲンランプであれば、脱落時にバルブそのものの温度が非常に高いこともあって、周囲の樹脂を発火させる原因になります。

 一方のディスチャージランプの場合も、高電圧であるため接触不良による抵抗増大で発火しやすい傾向があります。

 今でも定期的にヘッドランプバルブの取り付け不良による車両火災が発生していますので、何となく作業は絶対に避け、専門家に作業を依頼しましょう。

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