富士通がオープンイノベーションに取り組む理由(後編):zenmono通信(1/5 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は富士通で「あしたのコミュニティーラボ」などの活動に取り組んでいる柴崎辰彦さんにお話を伺った。
本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。※本記事の内容はzenmono掲載時のものです
富士通が「あしたのコミュニティーラボ」を始めた理由
enmono 前半はこれまでの取り組みや事例をご紹介いただきました。後半はいよいよハッカソンについてお話を伺えればと思います。
柴崎氏 はい。今ご紹介してきた共創の活動をしていく上では、「場」というのが重要になります。例えば今日みたいに対話する場もあれば、体系立てる場もありますし、実践するような場もある。われわれ富士通の中には十数万人の社員がいるんですけど、社内で凝り固まって議論していても仕方ない。もっと外に出て議論する必要があるかなということで始めたメディアが「あしたのコミュニティーラボ」というものです。
運営会社が富士通であることは言っているんですが、そのコンセプトは「人が中心」とか「共創(Co-creation)」「日本再発見」と言っていて、富士通の製品やサービスのことはここでは一切出てこないし、宣伝していないんです。
われわれも多くの企業の中の1つですが、企業と個人・公共をつないでディスカッションするような場所、知創コミュニティーみたいな言い方で「あしたのコミュニティーラボ」を評価してくださる方もいらっしゃいます。テーマは「学び」とか「働き方」だとか「モノづくり」「街づくり」といった割と普遍的な社会課題に関することを議論しています。
実はこの「あしたのコミュニティーラボ」というメディアなんですが、社外の方を社内にお呼びして議論をしたり、社内で議論しているテーマについて外に持っていって議論したりなど、そういう形でグルグル回しています。この仕組みが非常にユニークだといろいろな方から言われています。
enmono 情報管理はどのようにされているんですか? 例えば社内の情報を外の人と話す時にどこまで出していいのか、とか。
柴崎氏 社内の情報を全て外へ出しているわけではなくて、かなり議論を積んだ上で外の人とお話ししています。
enmono ここまでは出していいと決めて、それをテーブルに乗せる。
柴崎氏 そうです。こういう活動をWebメディアとかFacebookとかイベントを使ってやっている目的は、多くの従業員たちを実践リーダーやイノベーターに引きあげていくというものです。社内版の「あしたのコミュニティーラボ」もあって、これも社外の方と行っているものとほぼ同じような仕組みになっています。社外版と違うところは、この社内版の方にはコミュニティーが幾つか併設されていて、例えば全社の中で一番大きいコミュニティーは「ハッカソン・コミュニティ」です。
enmono どういうコミュニティなんですか?
柴崎氏 ハッカソン・コミュニティーは「新しいハッカソン、こういうハッカソンを他社でやっているからみんなで参戦するぞ行くぞ」とか(笑)。あるいは自分たちで企画するハッカソンについて議論したり、システムエンジニアの人間もいれば、研究所、デザイナーの方も参加しているというコミュニティです。
enmono 社員さんは参加自由なんですか?
柴崎氏 そうですね、はい。
enmono マネージャクラスとか役員クラスの方でも?
柴崎氏 役員の方が発言される場合もありますし、新入社員が発言する場合もあります。新入社員と役員が議論するとか、そういう場も提供しているという感じですね。
enmono 誰でも発言しやすいような空気はどのように作るのでしょう。発言しづらい場面もあると思いますが。
柴崎氏 共通のテーマに向かって、例えばハッカソンであればハッカソンについて全員が熱い想いを持って話す――というような空気を作るというイメージがあるかと思います。
enmono 僕らも割とこういうのをやるんですけど、場を仕切る人――ファシリテーターが重要かなと思っています。そういうファシリテーション教育みたいなことはされているんですか?
柴崎氏 特にはしていないんですが、やっぱりここに至るまで、いろいろな社内ソーシャルメディアの実験が行われてきました。そういったことを経て、社内ソーシャルメディア上でのエチケットといったものも社内の文化として醸成されてきたのではないかと思います。いろいろ情報発信をしているんですが、リアルな交流をということで「社内のイノベーターを増やせ」とハッカソンやアイデアソンを積極的に仕掛けています。
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