富士通がオープンイノベーションに取り組む理由 (前編):zenmono通信(1/4 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は富士通で「あしたのコミュニティーラボ」などの活動に取り組んでいる柴崎辰彦さんにお話を伺った。
本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。※本記事の内容はzenmono掲載時のものです
変化する富士通
enmono 第105回マイクロものづくりストリーミング、本日は東京・六本木にある「HAB-YU」という素晴らしいコ・ワーキングスペースで、富士通の柴崎辰彦さんをゲストにお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。
柴崎氏 よろしくおねがいします。簡単に自己紹介をすると富士通に入ったのは1987年で、最初は通信機器の事業部門でモノ作りをするところに在籍していました。2000年からシステムエンジニアの部門に移ってコンサルタントなどをしています。いろんなところを渡り歩いてきた関係で重宝がられて、現在はシステムエンジニアが3万人くらいいる会社におりますけども、そこの戦略企画のような仕事をしています。
enmono 3万人を取り仕切る軍師というか……。
柴崎氏 いやいやいや(笑)。そんな大したことはやってないんですけども。
enmono 僕も富士通出身なんですよね。いたと言っても3年くらいしかおりませんでしたけども。僕がいたころの富士通はハッカソンとかやる雰囲気じゃなかったのに、最近は随分変わったよなという気がしています。富士通がハッカソンをはじめたのは2014年くらいからですか?
柴崎氏 社内では3〜4年前くらいからやりはじめました。
enmono メディアに出始めたのが2014年くらいからですか?
柴崎氏 そうですね。
enmono 本日はハッカソンなどはじめ、会社自体をオープンにしていく仕組みとして富士通さんが開始した「あしたのコミュニティーラボ」の取り組みを中心に伺わせてください。
柴崎氏 よろしくおねがいします。われわれは「TEDxTokyo」でも取り上げられたテーマである「結(ゆい)」、結びつけるということをテーマとしてイメージしながら活動を進めています。2014年の「AERA」の記事では、「編む力がビジネスを強くする」と言っています。自分の糸に他人の糸を編みこむことで、より強い魅力のある布になる。大企業であれ、中小企業であれ、自社の得意技に他社の得意技を編みこむことで強くなれるんじゃないかという意味合いだと思います。
また、メディアでも“IoT(Internet of Things、モノのインターネット)が爆発する”といわれています。爆発というのは要するにビジネスチャンスが到来するということだと思うんですけど、同時に「自前主義との決別」、つまり自分たちだけで考えていく時代は終わりだろうと警鐘を鳴らしていますね。
enmono そういうことを富士通さん自身も言ってしまっているわけですか?
柴崎氏 われわれだけではなく、いろんな他の企業さんもそういうことを言い始めています。そうした昨今の動きを踏まえて、われわれの活動に話を移します。なぜ「あしたのコミュニティーラボ」やハッカソンをやっているのか。それは最近出てきた「共創」という言葉とつながってきます。
われわれは情報システム部門の方々に対して受託型のサービスモデル――つまり「言われたものを、言われた通りに、言われた納期、言われたコストで作る」、こういうシステム開発をずっとやってきたんですが、これからは現場の事業部門の方々とか、あるいはその先にいらっしゃる生活者の方々に対して共創型のサービスモデルを展開していかないと、やっていけないかもしれないという危機感を、ここ数年ずっと持ち続けています。
ITやICTの世界の成長率はここ数年鈍化していて、新しい市場を求める意味で、現場の事業部門であったり、あるいは生活者に目を向ける必要があると感じています。
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