富士通がオープンイノベーションに取り組む理由 (前編):zenmono通信(4/4 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は富士通で「あしたのコミュニティーラボ」などの活動に取り組んでいる柴崎辰彦さんにお話を伺った。
富士通が描くイノベーションのカタチ
柴崎氏 最近はビジネスのイノベーション、企業の中でのイノベーション、社会的課題の解決を意味するソーシャル・イノベーション――というように、いろいろな観点でイノベーションというのが語られていると思うんです。そして企業だけの論理ではなくて、世の中の生活者だとか異なる立場にいる社会人の方々と物事を考えやすくなってきていると思います。大企業の中にいても、そういった観点で物事が考えられるようになってきていると感じます。
enmono それは社会環境が変わってきたということが影響していると思いますか?
柴崎氏 社会環境という意味では後ほど紹介する「あしたのコミュニティーラボ」のイベントに参加する若者の考え方が「社会に貢献したい」という方向へすごく変わってきていますね。今はここ東京・六本木で収録をしていますけども、われわれが若いころはそれこそ六本木って遊びに行くみたいなイメージの場所でした。しかし今の若者は六本木のコワーキングスペースで開催される「社会課題をどう解決するか?」というワークショップに参加している――というように、かなり変わってきていると思います。
その例として「観光クラウド」を挙げます。これは青森県にいるコテコテの青森大好きのシステムエンジニアの方が始めた、「自分だけの旅づくりをしよう」「青森の埋もれた魅力を発見しよう」というサービスです。つまり青森県に旅に来てくれるその他の地域の方々、もちろん日本だけではなく海外の方もいると思うんですが、そういった人がいわゆるツアー型の旅行ではなくて青森県の人しか知らないようなユニークな場所を回れるようにカスタマイズされた旅行を作るサービスなんですね。
enmono スマホで教えてくれるんですか?
柴崎氏 ルートガイドという仕組みがあって、それを使って事前にルートを作成して、スマホやPC上で情報を得られるというものです。このサービスは富士通のシステムエンジニアだけではできなかったんですね。このスライドにちょっと書いてありますが、青森県の地域振興共通善。青森県のことを大好きな地元のさまざまな立場の方が集まってこのサ作られたサービスです。
富士通のシステムエンジニアに加えて、レンタカー屋さん、それから青森県の自治体の方々などなど。レンタカーのステーション情報であるとか、自治体からはオープンデータなどを提供していただきました。最近では地方創生という観点でも注目されているオープンデータを活用して、それらをつなぎ合わせたルートガイドというサービスを提供しています。
これらの活動をするために企業の名刺ですとか役所の名刺を持っていると動きづらいということがあって、彼らのすごいところはそのためにNPO法人を起ち上げて、みんなで盛り上げながらこのサービスを提供しているという点にあると思います。
(後編に続く)
参照記事「第105回MMS放送 「社会の変化から”あした”につながるビジネスや暮らしのヒントを見つけるメディア」 富士通 柴崎辰彦さん
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.