米国の事例に見る、マルチデバイス化する「非医療機器」のリスク管理:海外医療技術トレンド(8)(2/3 ページ)
近年、健康増進用途の消費者向けウェアラブル端末やモバイルソフトウェアなど、医薬品医療機器等法(薬機法)の適用対象外となる「非医療機器」のマルチデバイス化が進んでいる。それに伴ってどのようなリスクが出てくるのか。米国の動向をみてみよう。
消費者保護の観点からヘルスケア向け製品/サービスを監視するFTC
医療施設や医療保険者とは無関係に一般消費者が利用するヘルスケアデバイスおよび関連サービスの場合、HHSもFDAも所管外となる。しかし消費者保護の観点から、プライバシー/個人データ保護を所管する米国連邦取引委員会(FTC)が関わってくる。FTCは、強力な司法的措置の権限を持っている。
FTCの健康医療分野に対する関心は極めて高い。例えば2014年5月には、患者体験共有型ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)事業者である「PatientsLikeMe」の法規制対応責任者、HHSのオープンデータプロジェクトである個人健康記録(PHR)「iBlueButton」(図2参照)のプライバシー責任者などを招いて、消費者が生成し、コントロールするヘルスデータのプライバシーをテーマとしたワークショップを開催している(関連情報)。
「iBlueButton」の例(クリックで拡大) 出典:米国連邦取引員会(FTC)「Spring Privacy Series: Consumer Generated and Controlled Health Data」(2014年5月7日)
さらにFTCは2015年3月、プライバシー、データセキュリティ、スマートホーム、ビッグデータ、モバイル、IoTなど、次世代の消費者保護を目的とした「技術研究・調査室(OTRI)」を新設した(関連情報)。
PC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末など、マルチデバイスを利用した消費者向けヘルスケア製品/サービスから、日々集積されるビッグデータを2次利用したソリューション/サービスに至るまで、「非医療機器」の幅広いビジネス領域にOTRIが関与することになる。
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