全員参加の生産保全、TPMとは何か?:いまさら聞けないTPM(1)(3/4 ページ)
本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPMとは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説していく。第1回となる今回は、まず「TPMとは何か」について紹介する。
TPMのコアバリュー
TPMは、あくまでも企業が繁栄し続けるために利益を生み出すもうける技術・手段です。TPM活動自体が目的ではありません。「もうける」とはどういったことを意味するのか、ヒントは、TPMの基本理念にあります。
図3に示すように、TPMには基本理念が5つあり、中でも「もうける企業体質づくり」と「予防哲学(未然防止)」は、TPMの最大の特色なので、この2つについて簡単に説明します。
もうける企業体質づくりの「もうける」とは、「もうかる結果をもたらす行為」を意味し、仕事のやり方のことを指します。もうける企業体質づくりとは、期待通りの結果(利益)をもたらす「もうける仕事の仕方とその質の向上」を意味し、単なるテーマ改善活動ではなく、仕事そのものを再構築する活動となります。
もうける仕事の仕方のヒントは、基本理念の2番目「予防哲学(未然防止)」にあります。故障や不良などといったロスをゼロにすることでもうかるとTPMでは考えています。ロス・ゼロを達成するには、ロスを「減らす」だけでなく、ロスを「防ぐ」「未然防止をする」仕事の仕方が必要であると考えます。なぜなら、ロスを減らす活動とはロスが発生した後の事後対策であり、事後対策だけではロスがゼロにはならないからです。
先述した「防ぐ」というルーツは、設備管理のPM(予防保全)に由来します。つまり「保全(メンテナンス)」が、TPMの本質の根源となっているのです。保全とは修理することだけではなく、故障や不良を防ぐ行為です。その防ぐ行為とは、その要因やプロセスを管理することです。保全行為によって、故障や不良が防げることで安定生産や安定操業が実現でき、もうける基本体質が築かれます。さらに、要因系管理とプロセス管理を全員参加で実践し、全員が改善の機会を得て働きがいを感じ、参画型経営に貢献できる自主自立体質を実現することになります。これによりもうける企業体質が築かれる。これがTPMの本質です。
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