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異例の大売れ工具「ネジザウルス」、社員30人の中小企業がヒットを連発する理由イノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(5)(5/5 ページ)

自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。今回は年間1万丁売れれば大ヒットといわれる工具業界で、累計250万丁を売り上げた大ヒット商品「ネジザウルス」を開発した工具メーカーのエンジニアの取り組みを紹介する。

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「ネジザウルス」に続くヒット商品も

 MPDP理論を実践し製品開発をはじめてから、同社の新製品開発ペースは、それまでの年40件から1件になったという。「下手な鉄砲も数打ちゃ当たるとばかりに次々に企画製作するのではなく、戦略を立てて開発するようになったからです」と高崎社長はその理由を語る。

 MPDP理論を実践して製品化した「鉄腕ハサミGT」は2011年に発売された。これは、“最小で最強”という2つの矛盾したコンセプトを融合した工具はさみだ。累計販売数は15万丁(2015年7月時点)と、ネジザウルスシリーズに続く大ヒットとなった。

 2015年10月に販売を開始した「ネジバズーカ」も順調な売れ行きを見せている。こちらはネジザウルスでは外れない皿ネジを外せる3種類のビットがあり、ネジのつぶれ度合いや形状によってビット使い分けられる工具だ。


新製品「ネジバズーカ」は、皿ネジや六角穴付きネジも外せる特殊ドライバーだ(クリックで拡大)

「ネジバズーカ」には、3種類のビットがある。3Dプリンタの導入で、こうした展示モデルも社内製作できるようになった(クリックで拡大)

海外展開も推進

 MPDP理論を実践しながら、高崎社長は世界に目を向けている。ネジザウルスは、2009年より海外展開を開始した。アメリカに進出してみて、文化が違えば、ユーザーに受け入れられるデザインもネーミングも変わってくることに気づいたそうだ。

 その結果、アメリカ版ネジザウルスは「ヴァンプライヤーズ」(ヴァンパイヤ+プライヤの造語)と名称を変更、グリップのカラーも緑から赤に変えた。

 デザインのリニューアルによって、売り上げは前年比で30%アップしたという。エンジニアは、MPDP理論を駆使し、今後も世界中のユーザーの心をがっちりつかむ工具を作り続けるだろう。

筆者プロフィール

松永 弥生(まつなが やよい) ライター/電子書籍出版コンサルタント

雑誌の編集、印刷会社でDTP、プログラマーなどの職を経て、ライターに転身。三月兎のペンネームで、関西を中心にロボット関係の記事を執筆してきた。2013年より電子書籍出版に携わり、文章講座 を開催するなど活躍の場を広げている。運営サイト:マイメディア


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