モデリングで失敗しないために――失敗から学ぶモデリングの実践的なコツ:プロジェクトを成功させるモデリングの極意(5)(8/10 ページ)
モデリングを失敗しないためには、失敗の原因と失敗しないためのコツを知ることが肝要です。今回は失敗しないための実践的なコツを紹介します。
モデリングの利用状況
ここではモデリングの利用状況について見ていきます。筆者が委員長を勤める電子情報技術産業協会(JEITA) のソフトウェア事業基盤専門委員会で2014年度にモデリングの利用実態調査を実施し、その結果を以下の報告書 IS-15-情シ-2で公開しています。以下ではこの報告書で紹介されているデータを引用して、グラフにしています。
平成26年度 ソフトウェアに関する調査報告書II(IS-15-情シ-2)
http://www.jeita.or.jp/cgi-bin/public/detail.cgi?id=592&cateid=6 (注)以下のグラフは上記報告書の付録に掲載されている、モデリングの利用状況調査のアンケート結果のデータを引用してグラフにしています。
要求モデリング
図8にあるよう要求モデリングで使われているモデル図には、いろいろな図が使われています。UMLや状態遷移図、それから図とはいえませんがExcelの表で管理しているもの、フローチャートなどが使われています。SysMLはまだ多く使われていません。なお複数の図を利用しているという回答も多くありました。
図9の円グラフの「未運用」は検討したが運用していないということで、「未活用」は運用はしているがデータを活用できていないことです。図9から未実施が半数以上で、要求モデリングの実施そのものが少ないことが分かります。
データモデリング
図10からデータモデリングで使われるモデル図は UML、DFD、E-R図があります。対象プロジェクトに組み込み系ソフトウェアが多いこともあり、データモデリングで使われている図ではE-R図が少ないのかも知れません。
図11では、データモデリングも実施していないという回答が多く占めています。要求モデリングよりは活用している回答の割合が大きいですが、全体的に活用しているのは少なくなっています。設計モデリングでのUMLクラス図やオブジェクト図にデータモデリングが含まれているかも知れません。
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