スマートアグリカルチャーを実践するショールームをベトナムに開設:製造マネジメントニュース
富士通とベトナムのFPTは、ICTを活用したスマートアグリカルチャーを実施・紹介するショールーム「Fujitsu - FPT Akisai Farm and Vegetable Factory」を、ベトナム・ハノイに開設する。
富士通は2015年12月8日、ベトナムのFPTと共同で、ICTを活用したスマートアグリカルチャーを実施・紹介するショールーム「Fujitsu - FPT Akisai Farm and Vegetable Factory」を、ベトナムの首都ハノイに開設すると発表した。
富士通では、農業の生産・販売から経営までを包括的に支援するクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド Akisai」(以下、Akisai)を展開している。2014年には、ベトナムでの農業の普及・発展に向けたスマートアグリカルチャープロジェクトでFPTとの協業を発表。2015年から2016年の1年間、Akisaiを活用した実証実験に取り組んでいるが、今回その一環として、Akisaiを導入したショールームを設立する。
ショールームは403m2のグリーンハウス1棟で、ハウス内で施設栽培と植物工場栽培の2つの生産施設を紹介する。同日から試験運用を開始し、2016年2月24日に正式に開設する予定だ。
施設栽培では、Akisaiの施設園芸を行う生産者向けサービス「施設園芸SaaS」を活用。ハウス内に設置された各種センサーで、温度、湿度、CO2、日射量などの環境情報をリアルタイムに収集し、カーテンやファンなどの設備を自律的に制御する。これらの設備と、フィルムの上で栽培するアイメック農法を組み合わせ、栄養度・糖度が高い中玉トマトを栽培する予定だ。
また、植物工場栽培では、「会津若松Akisaiやさい工場」で実践する完全閉鎖型植物工場を紹介する。工場内のセンサーが収集する温度や養液の水温、電気伝導度などの環境情報を活用し、カリウム含有量を抑えたリーフレタスの栽培現場を展示するという。
両社では、ショールームの構築・運用を通してAkisaiや栽培農法のノウハウを紹介するほか、環境制御や人材育成、農業資材の調達などにより、ベトナムの農業環境に即したローカライゼーションの在り方を検討するとしている。
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