ARM「mbed OS」の現状を読み解く3つのポイント:ARM TechCon 2015レポート(1/5 ページ)
ARMが発表したIoT向けOS「mbed OS」は2015年10月のリリースを目指していたが、実際にはTechnology Previewにとどまっている。同年11月に行われたARM TechCon 2015で明らかにされた現状と詳細を3つのポイントから解説する。
ARMが発表したIoT向けOS「mbed OS」についてはこれまでも2回に渡って詳細をお届けしているのだが、2015年11月10日〜12日の3日間、カリフォルニア州サンタクララコンベンションセンターにて開催された「ARM TechCon 2015」で明らかにされた現状と詳細について紹介したい。
mbed OSの提供時期
さて2014年の予定では、今回のTechCon(2015年11月10〜12日)に合わせてv3.0がReleaseされるはずだったのだが、実際にはTechnology Previewにとどまっている(Photo01)。この遅れについて、ARMのNeil Jackson氏(Director of Product Marketing, Iot Business Unit)は「Betaをパートナーへリリースした段階でさまざまなフィードバックが得られ、これを反映させるのに予想以上に時間を要している」とその理由を説明した。
当初はv3.0を割と早めにリリースし、パートナーからのフィードバックを反映させたものをv3.1以降で反映させるというプランだったはずだが、実際にはそうもいかなかったようだ。ちなみにこのフィードバックを反映させる作業にはそれなりの手間がかかっているようで、現時点ではまだ具体的なリリーススケジュールは出ていない。ただ、Technology Preview 2.x、3.x……の様な事は考えていない、という話であった。
このTechnical Previewそのものはこちら(ARM mbed OS:Getting mbed OS)から入手できる。ただし現状、正式対応しているハードウェアはFreescale(現NXP Semiconductor)のFRDM-K64Fのみであり、他に実験的サポートとしてリストアップされているのが
- NXP Semiconductor 「JN5179」
- STMicroelectronics 「Nucleo F401」「DISCO-F4291」
- Nordic Semiconductor 「nRF51 DK」「nRF51822-mKIT」
- BBC 「BBC micro:bit.」
- Silicon Labs 「EFM32 Giant Gecko」、「EFM32 Happy Gecko」
となっている。
実際にはこれ以外のメーカーも現在移植を進めているが、登場時期などは不明だそうだ。多分この中で国内でも入手しやすいのはNucleo F401だろうと思うが(なにせ秋月電子通商で販売している)と思うが、mbed OSを試すためにはまずはこれらのどれかを手に入れるところから、ということになるだろう。
mbed OSの内部構造
今回発表されたmbed OSの内部構造はこうなった(Photo02)。以前の構造図(Photo02_01)と比較するとかなり違うことが分かる。
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