IoT団体によるUPnP(Universal Plug and Play)吸収を読み解く:IoT観測所(16)(2/3 ページ)
インテルやサムスンらが主導するIoT標準化団体「OIC」が、UPnP(Universal Plug and Play)Forumを吸収した。UPnPの推進する“挿すだけで使える”をIoTに持ち込むことは理にかなっているように思えるが、AppleのHomeKitや、GoogleのProject Brilloに対する競争力はあるだろうか。
UPnP+の登場
さて、このUPnPを前提にした上で、これの適用範囲をIoTのマーケットまで広げようと立ち上げられたのがUPnP+である。面白いのは、仕様そのものにはUPnP+と付かない事である。もともとUPnPは「UDA(UPnP Device Architecture)」とその上位層にあたる「DCP(UPnP Device Control Protocol)」と2つの仕様があり、さらにこの上位層として「UPnP AV」や「UPnP IGD(Internet Gateway Device)」といった仕様が用意されている(執筆時点で数えたら全部で25種類の上位プロトコルが並んでいた)。
さてこの中でUPnP+に直接関係してくるのはUDAである。UPnP+の認証は2015年2月に発表されたUDA 2.0を前提に定められており、要するにUDA 2.0に準拠したUPnPデバイスは、UPnP+としての認証が(理論上は)取得可能になる。
このUPnP+という概念が明示的に公開されたのは2014年7月の事だ。この時点でUPnP+の目的は、IoTとクラウドサービスのブリッジになることであった。Photo03は2014年12月にUPnP Forumが公開したUPnP Internet of Thingsという資料からの抜粋だが、「Sensor Management Bridge」という機能が出現しているのが分かる。
これは何をやろうとしているかというと、「センサーデータの収集」「デバイスの制御」「情報の共有」「デバイス所有権の管理」「通信のセキュア化」などIoTを利用する際には欠かせない各種機能をUPnPベースに提供しよう、という話だ。加えるなら、IPv6のサポートやクラウドとの通信プロトコルにRFC 6120/6121(XMPP:Extensible Messaging and Presence Protocol)を利用する、新しくアプリケーション管理機能を追加する事などが盛り込まれており、これを実現したブリッジを新たに追加することで、既存のUPnP対応デバイスがそのまま利用できるという構想である。
もちろん、UPnPのスタックは決して軽量ではないから、全てのIoTエンドノードがUPnPに対応というのはやや非現実的である。それはUPnP Forumも良く理解しており、そうした非UPnP NetworkとUPnP Networkの介在を行うゲートウェイを用意することでこれを解決するシナリオを考えている(Photo04)。
実際このゲートウェイの内部構造も規定されており(Photo05)、デモ用のコードまで公開されているという用意周到さだ。当初は2014年末にこのUPnP+認証を開始する予定であったが、実際には若干ずれ込んで実際に開始されたのは2015年1月末になった。とはいえ構想を発表してから認証開始まで半年強というのは、やはり既存のUPnPというインフラがあっての話である。
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