「IoTも伝えるスキルがなければ価値はない」――クラウドネイティブな学生がIoTを企画すると?:第6回 Device2Cloudコンテスト 決勝大会レポート(2/2 ページ)
デバイスとクラウドを活用したシステムの企画からプレゼン、開発までを競う学生競技会「第6回 Device2Cloudコンテスト」の決勝大会が開催された。本稿では、上位チームのプレゼン内容を中心に決勝大会の模様をお伝えする。
火災の早期検知ができるホームサポートシステム
準優勝となったHIT LAB A(広島工業大学)が開発した「火事の未然防止システム」は、既存の火災検知機とは異なるアプローチで火事の早期検知と適切な通知を実現するホームサポートシステムである。これも優勝作品と同様、スマートハウスの特定機能にフォーカスしたシステムを企画・開発したものである。
既存の火災警報機では煙(減光率の上昇)と熱にて火災を検知する方式が多く、風呂場のドアを開けてシャワーを浴びると警報がなってしまうといった課題もあるが、発表されたシステムは温度センサーと人感センサーを用い、「人が不在で温度センサー値が上昇する」と火災が発生したと判断し、登録者に通知される。
センサーノードにはArduino、ゲートウェイにはRaspberry Piを用いており、安価にクラウド連携のシステム構築できることも特徴だ。現在は登録者に対してメールを送信するだけであるが、警備会社への自動通知など通知や警告の方法も拡張可能だという。プレゼンでは広島で発生したメイドカフェ火災の話も盛り込み、火災検知機の検知能力や検知条件について審査員に訴求していた。
「IoTの先」を感じさせるシステムの登場に期待
優勝と準優勝は共にスマートハウスにおける特定機能にフォーカスしたシステムであり、他にも自宅における活動を支援するシステムが提案されていた。スマートハウスはこれまでHEMSを中心としたインフラ系が主となっていたが、プレゼンを見ると、今後は生活の安心安全や快適性が重要になると感じられた。ただ、今回はプレゼン時間が5分間と短く、さらにネットワーク環境は保証されないことから、プレゼンにおける実機デモをするチームは少なかったことは残念であった。
近年、IoTが注目され多くの企業から具体的なシステムが多く提供されている状況において、学生が独創的かつ具体的なシステムを企画開発することはますます難しくなってきている。しかし、IoTが当たり前の時代になったからこそ、それを踏まえてた“その先”を独創的な着眼点とアイデアから企画開発し、魅力的に伝えて欲しい。その提案を期待している。
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