「IoTも伝えるスキルがなければ価値はない」――クラウドネイティブな学生がIoTを企画すると?:第6回 Device2Cloudコンテスト 決勝大会レポート(1/2 ページ)
デバイスとクラウドを活用したシステムの企画からプレゼン、開発までを競う学生競技会「第6回 Device2Cloudコンテスト」の決勝大会が開催された。本稿では、上位チームのプレゼン内容を中心に決勝大会の模様をお伝えする。
2015年12月5日、品川シーズンテラスカンファレンスホールにおいて、デバイスとクラウドを活用したシステムの企画からプレゼン、開発までを競う学生向け競技会「第6回 Device2Cloudコンテスト」の決勝大会が開催された。
今回は2015年5月にオープンした品川駅近くのホール(品川シーズンテラスカンファレンスホール)を会場に開催された。品川駅近辺はソニーや日本マイクロソフトなど、テクノロジー企業が多く集積する場所であり、テクノロジーに長けた人材を育成するには交通の便も含め最適なエリアであるといえる。
同コンテストは今回(2016年)で6回目を迎え、IoTというキーワードが普及する前から実施されている。参加する学生らは、マイコンとセンサー、そして、クラウドサービスとの連携などを活用した組み込みシステムを企画・開発・プレゼンしなければならない(開催概要)。
今回から利用可能なマイコンボードを2種類から5種類に増やし、EdisonやRaspberry Pi 2なども利用可能となった。また審査項目にビッグデータやセーフティ対策などを追加し、よりIoT時代に求められるシステム開発を要求している。
発表チームは前回まで4チームであったが、今回は8チームに倍増させ、より多くの学生にプレゼンの機会を提供するように変更されている。予選審査には16チームがエントリー。作品のプレゼンテーションビデオと構想設計書を提出し予選審査が行われた。上位8チームが今回の決勝大会に進出し、1チーム5分間のプレゼンテーションを実施。最終審査により優勝チームが決定した。
ここでは、優勝した優勝したOES四国(四国職業能力開発大学校)の「自動物干し機能搭載ホームトータルサポートシステム」と、準優勝の優勝したHIT LAB A(広島工業大学)の「火事の未然防止システム」、それぞれのプレゼンテーションを紹介する。
天日干しにこだわるホームサポートシステム
優勝したOES四国が開発した「自動物干し機能搭載ホームトータルサポートシステム」は、不在がちな家庭の天日干しを支援してくれるホームサポートシステムである。近年のスマートハウスに関して、特定機能にフォーカスしたシステムを企画・開発したものだ。
親機であるゲートウェイにはRaspberry Piを利用し、ユーザー登録や情報設定・閲覧が可能で、さらにはWebカメラを接続し動体検知による防犯にも利用できる。子機であるセンサーノードはArduinoを利用し、温湿度、気圧、水滴、明るさをセンシングできる。
親機と子機はZigBeeで通信し、省電力でありながら簡単に増設ができるように工夫されている。天日干しを制御するための屋根開閉制御も盛り込まれており、温湿度や気圧の変化、水滴の検知によって屋根の開閉を制御できる。
これらはクラウドサービスを利用し、情報の参照や蓄積ができる。しかし、現状ではビジネス観点での訴求が弱いことも指摘されており、洗濯物の屋根開閉制御などコストが試算されていないなど課題は多いように見受けられた。
現在、中国で問題となっているPM2.5など大気状態のモニタリングなどにも拡張できるるので、環境問題が深刻なエリアで展開し、センサーデータの収集・蓄積・活用から、ハウスメーカーが展開するスマートハウスへの追加といった用途も期待できるだろう。
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