マツダ「RX-VISION」の長〜いボンネットには何が入る?:今井優杏のエコカー☆進化論(21)(3/4 ページ)
2015年11月8日に閉幕した「東京モーターショー2015」。筆者が注目したのは、マツダの「RX-VISION」と日産自動車の「IDSコンセプト」だ。RX-VISIONの長〜いボンネットには一体何が入るのか。完全自動運転にも対応するIDSコンセプトが事故を起こしたら誰が責任を取るのか。
目玉になった「自動運転」
さらにもう1つ、今回の大きな目玉になったのはやはり「自動運転」ではなかったかなと思います。
もう既に米国ではテスラがモデルS向けに自動運転機能のソフトウェア配信を行っており、その様子を収めた幾つもの映像をYouTubeなどで見ることができますが、取り上げられる話題のほとんどが危険を思わせるようなもの。こういったスキャンダラスな面ばかりが取り上げられるのは心が痛みます。本来は人間をサポートするのが目的ですし、テスラだって決して人を危ない目に合わせようとこの機能を追加したはずではないからです。
テスラが現在提供している自動運転機能は完全な自律走行をするものではなく、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が定める4段階の自動運転車分類のうち第2段階に相当する、というもの。
ちなみにその4段階の自動運転分類とは、
- レベル1:1つ以上の特定の制御機能の自動化(自動ブレーキ、クルーズコントロール、車線維持機能など)
- レベル2:2つ以上の制御機能が複合した自動化(特定の条件下においてドライバーは操作をクルマに任せることができるが、常に運転を監視していなければならない)
- レベル3:特定の交通や環境条件のもとにおいては、ドライバーがシステムの管理をする必要がない自動運転
- レベル4:完全な自律運転。フルオートメーション
となっています(出典:NHTSA http://www.nhtsa.gov/)。
モデルSの自動運転機能はレベル2に相当し、完全にクルマに制御を任せてはいけない範囲に入ります。ちなみにAudi(アウディ)やGoogle(グーグル)が目指しているのはレベル4です。
しかし、テスラのやり方に「自己責任の国アメリカ」を感じさせられるのは、「この自動運転で起こった事故に関して、テスラは一切の責任を負わない」という文言。つまり、YouTubeの映像のように完全にクルマに制御を任せちゃっても、それはドライバー(というか乗員と言いますか)の責任であってテスラは何の保証もしませんよ」というなんともドライなものなのです。
しかし、東京モーターショー2016で自動運転のデモンストレーションを大きく目玉として打ち出していた日産自動車は違いました。
「日産が自動運転を提供した際にもし事故が生じたら、それは全部日産が責任を負います」とエンジニアが言い切ったのです。
ステージに展示されていたのは「NISSAN IDSコンセプト(以下、IDSコンセプト)」。
運転席と思しきところには、まるで航空機のようなグリップタイプのステアリングがあり、自分で操作ができるようになっています。あれ? これって自動運転じゃなかったっけ? と思ったら、そのダッシュボードがぐるんと回ってステアリングが収納され、タブレット端末が現れた! このIDSコンセプトは、2通りのドライブモードを選ぶことができるのでした。
先ほどの米国式の4段階の自動運転分類になぞらえるならば、レベル2〜4を自在にコントロールするという感じになりますね。
人工知能が交通を予測し、また車両周辺の歩行者などにはLEDで「お先にどうぞ」などメッセージが表示されるなどフレンドリーな機能も満載されていました。
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