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モノよりもうかる? サービス領域に対するIoT活用の考え方もうけを生む製造業IoTの活用手順(2)(2/3 ページ)

製造業で活用への注目が集まるIoT。しかし具体的な成果を生み出すために、どういった取り組みを計画すべきなのか戸惑う企業が多いはずだ。こうした製造業のIoT活用のポイントを解説していく本連載の第2回目では、サービス領域へのIoT活用についての具体的なアプローチ方法について解説していく。

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IoT中長期活動プラン策定とその具現化に欠かせない3つの要素

 しかしいざIoT活用を始めようとしても、実際に何をしたらよいか、どのようなデータを取得するべきかが見えていないというケースは多い。中には、データの収集までは行ってみたものの、その活用方法までは検討していないという場合もあるだろう。

 ここではまずサービス革新領域へのアプローチの前段として、具体的な成果を生み出す上で欠かせない、中長期活動プランの策定および成果の具現化に向けたポイントを、日本の製造業でよく見られるケースを考慮して、3つの視点から展開していきたい。

組織体制を見直し、旗振り組織を設立する

 1つ目が組織だ。日本の製造業においては組織が縦割りであることが多く、組織間の連携が芳しくないことが珍しくない。そのため、IoTを活用した業務効果の刈取りを目指し、全社、あるいは販社/代理店といった資本関係がない組織まで巻き込んだプロジェクトを推進するには、限定された組織の活動だけでは難しい。企画、営業、設計、生産技術、品証、情報システムなど、全社の各組織が一丸となって横断的にプロジェクト推進していく必要があることから、経営者からのトップダウンによる意識統一および、その旗振りを行う専門組織が不可欠だ。

 もし縦割りのままプロジェクトを推進すれば、意識統一が行われていないことから、途中で空中分解することは必至である。つまり全社横断の組織の立上げがスタートラインとなるが、この際の留意事項としては、旗振りを行う組織にプロジェクトを推進するための権限が付与されていることが挙げられる。しかし、いきなり全社横断でのプロジェクト立上げが難しい場合には、スモールスタートで徐々に成果を上げていき、最終的に全社横断プロジェクトに育てていくという形も考慮すべきだろう。


IoT活用を進める際に重要となる旗振り組織のイメージ(クリックで拡大)出典:日立コンサルティング

組織横串でのデータ連携が不可欠

 2つ目はデータ管理手法の見直しだ。組織が縦割りであれば、当然、活用するシステムや関連データも縦割りという課題を抱えているケースが多い。一般的なIoT活用を考えた場合、機械状態のリアルタイム監視やシミュレーション精度の向上による開発期間の短縮といった効果が考えられる。サービス革新領域におけるサービス売り上げの向上という観点では、機械から直接収集したIoTデータ“のみ”では効果を挙げていくことは難しい。

 具体的な効果を上げるには、機械から収集したデータに加え、顧客情報、機械のメンテナンス履歴、クレーム、品質の情報など、機械1台にひもづくさまざまな業務データをフル活用して効果を出していく必要がある。つまり組織横串でのデータ連携が不可欠だ。

 状況によってはデータの二重登録や、同一項目にもかかわらず別名・別項目で管理されているケースもある。既存データや扱うシステムの課題は企業によりさまざまだが、情報活用のボトルネックになる課題は改善していく必要が出てくる。

データ活用に向けた業務の見直し

 先述したようにIoT活用によりサービス売り上げを向上するためには、データを収集するだけでは具体的な成果につなげることは難しい。仮にデータを蓄積・分析したとしても、それを実際に活用する業務が整備できていなければ同様である。すなわちIoTをどの業務で活用し、どのような効果を狙っていくかといった目的、対象業務および、対象製品、KPIをしっかりと中長期プランのステップごとに定義し、さらに新業務立案/既存業務フローの見直し・標準化を行うことが前提として必要になる。実行フェーズにおいては、ステークホルダーへの啓蒙を行い、定着させることが重要である。

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