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モデリングはなぜ失敗するのか―― 悪いモデル、汚いモデル、意味がないモデルプロジェクトを成功させるモデリングの極意(4)(9/10 ページ)

誰もが失敗したくてモデリングする訳ではないのに、失敗しているモデリングを見る機会は減りません。今回はモデルの失敗例を通じてその原因を探ります。

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  • 駄目モデラー

 モデリングの失敗は、モデル図を描く人=モデラーが原因である場合がやはり多いです。モデラーの知識不足、意識不足、スキル不足が原因です。その結果、モデリング手順の誤り、抽象化の誤り、手法やツールを使いこなせていない、表現の誤りなどが出てきます。ここは失敗原因の項目を挙げたら切りがなくなってきます。

 解決のためにはモデラー自身の改革もありますが、モデラーの選抜やその後の教育を含む組織全体での啓蒙、プロセスの改善など、他に求めることになります。このモデラーの育成についてはこの連載の後の回であらため、その方法や目標、コツなどを紹介する予定です。

  • 駄目ツール

 連載の第2回でツールを紹介しましたが、ここではツールの能力不足が原因である場合を駄目ツールと呼んでいます。これは失敗の原因がツール自身の問題になります。ツール選定の責任になります。弘法筆を選ばずでなく、ツールは選んでください。

 ツールによってモデル図の生産性と品質が明らかに違ってきます。さらに悪いことに、ツールが悪いとそれに引きづられて悪いモデル図を作ってしまう可能性もあります。普通なら筆記具が良くないと文章の内容そのものがおかしくなることはありませんが、モデリングツールではそれが起こります。ツールでクラス間の関係を示すアイコン1つの並びが違うだけで、汚いモデル図になることもあります。

 手にしっくりくるモデリングツールがなければ、それを無理に使うぐらいならExcelでもいいかも知れません。それくらい、手になじむものを選んでください。

 この連載ではモデリングツールやその使い方(もっと正確に言えば、使いにくいところを逃げる方法)は紹介しませんが、そもそも使い方を覚える必要があるツールは駄目ツールの可能性が高いです。ツールは鉛筆のようにほんの少しだけ習えば、後は自然に使えるツールであるのが最低条件です。

  • 駄目教育

 これはモデラーの育成のための教育が駄目ということで、モデリングの失敗の遠因に教育があることを言っています。駄目モデラーの解決策として教育がありますが、逆に駄目教育から駄目モデラーが出てくる可能性があります。

 教育ではUMLやSysMLなどの手法そのものや、モデリングツールの教育はそれほど問題なく、効果も挙げて、実施できるでしょう。問題はこの先です。モデリング手法やツールの使い方を習ったモデラーをこの後、どのように育成していくかになります。これがうまくいかないと、これがモデリングの失敗の遠因になります。駄目モデラーの箇所でも紹介しましたが、モデラーの育成での教育については、連載の後の回で紹介する予定にしています。

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