民間資本で月面を目指す! 「HAKUTO」のメカエンジニアが語る日本のモノづくり:zenmono通信(5/7 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は日本発の月面探査を目指す民間宇宙開発チーム「HAKUTO」のメカニカルエンジニアを務める古友大輔さんにお話を伺った。
目に見えないモノづくりの勘所
enmono 古友さんって、今お幾つですか。
古友氏 僕、来週35歳です。今は34歳ですね。
enmono まだお若いですよね。今どき、現場でここまでやる人はいないんじゃないですか。モノづくりって割とスマートな感じになってきていて、日本でもサラーッと3次元CADでやってしまうみたいな。
古友氏 でも僕、後輩には結構怒鳴り散らしてましたけどね。
enmono それブラックな企業じゃないですか(笑)。
古友氏 いやいやいやいや(笑)。虐めたくてやっているわけじゃなくて、勘所っていうかモノづくりのポイントを外してしまうと、形にはなるけど性能は出ないということがよくあるので。そこは握ってほしいなという思いがあります。
enmono そこが身につくと後が楽だけど、そういうものは図面に反映しづらい。図面だけでやりとりできないところもありますよね。
古友氏 できるよう努力をして、絵に一生懸命落とし込むんですけど、確かにそういう部分はあります。ただ、絶対外したくない点っててそんなに多くはなくて、2点とか3点とかせいぜいそのくらいです。そういう時は加工屋さんに行って、「工場長〜これさぁ〜」って言いながら説明します。
enmono そういう環境があるって、日本はすごく恵まれていますよね。設計者としては。
古友氏 はい。今までエンジニアとしては非常にいい環境・人に恵まれて仕事ができたなと思っています。
enmono 技術の異なる制御系とか通信系はどうでしょう。やっぱり日本がいいとか海外がいいとかあるのでしょうか。メカ屋はどうしても電気が苦手だったりするじゃないですか。
古友氏 ぐぁっ!(笑)。
enmono 目に見えない世界は分からないとか。
古友氏 そうなんです僕、目に見えないもの得意じゃないんですよ。電気のハードウェアとかはまだマシなんですけどね……。ソフトとかは結構オフショア(委託発注)してたりするので。ただ、自分の経験の中では身近なところでしかやってないです。HAKUTOではアウトソースもしています。例えばモーターのドライバーとかは、協力会社に開発を委託するかたちで手伝ってもらっています。
enmono 必要な技術領域は多岐にわたりますもんね。
古友氏 広いんですよね。宇宙も広いんです。環境も厳しいし。
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