呼気中の成分から肺がんを早期発見する検知器を開発:医療機器ニュース
産業技術総合研究所無機機能材料研究部門の申ウソク研究グループ長らは、フィガロ技研と共同で、健康管理のための呼気ガス検知器を開発した。2017年の実用化を目指す。
産業技術総合研究所は2015年10月27日、無機機能材料研究部門の申ウソク研究グループ長らが、フィガロ技研と共同で、健康管理のための呼気ガス検知器を開発したと発表した。現在、臨床試験と改良を進めており、2017年の実用化を目指す。
同研究グループでは、腸内細菌の活動を示す水素ガスに着目。健康・生活習慣との関係を明らかにするため、他の可燃性ガスの影響を受けにくい熱電式水素センサー素子を用いて、呼気中の水素ガス濃度を高感度に測定する、呼気水素検知器のプロトタイプを開発した。
あいち健康の森健康科学総合センターなどで行われた実証実験では、2014年と2015年の2年間で834人の呼気水素を分析した。その結果、一般健常者の呼気水素ガス濃度の平均値は20.2ppmであること、排便回数・運動習慣などの生活習慣が呼気水素ガス濃度と関連があることなどが分かった。
また、肺がんを早期に発見するため、濃度が数ppbレベルの肺がんマーカー物質を検知できる呼気VOC(揮発性有機化合物)検知器のプロトタイプも開発した。同装置は、肺がん患者と健常者を高精度で識別するアルゴリズムと、高感度の半導体式VOCセンサーを搭載。呼気中のVOCを吸着剤で吸着・濃縮し、濃縮したガスを分離カラムで分離して、半導体式センサーで分離した低濃度のVOCを検知する。
今後は、同研究で得られたデータを解析し、水素ガス濃度と生活習慣や血液検査結果との関連を検討する。呼気中のVOCについては、広島大学で呼気成分解析による肝がんと歯周病の特徴を抽出する研究に取り組む予定だ。
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