組み込み機器における「ハードウェア開発」はどのように行われるか:組み込み機器開発入門(5)(3/3 ページ)
電子機器を開発する際には、ソフトウェアとハードウェア、双方の開発が必要となります。では、組み込み機器におけるハードウェア開発とはどのような工程を経るのでしょうか。
まず、各部品がどの部品につながるかを設計します。次に、基板上への部品の配置・配線を行い、部品同士がどのようにつながるか、直線なのか、クネクネと曲がった線なのか接続線を決め、電子回路図が完成します。この段階になってやっと、実際の基板がどのような形になるのかを目で確認できるようになります。
いよいよ基板の製造です。基板設計のデータをもとに、フェノール樹脂で覆われた板に銅箔などの導電体で回路配線を行います。この配線された基板をプリント配線板と言います。このプリント配線板に電子部品を実装します。
この工程は、主に基板製造専門の業者が行います。基板製造専用の機械で回路配線や部品を実装します。何も載っていない“ただの板”の状態から、プリント配線板を経ての組み込み機器に搭載される基板になるまでの間に、約10台にもなるさまざまな基板製造用機械を通ることもあります。この工程は、精密かつ慎重に行わなければいけないのでクリーンルームで行います。
これで、組み込みハードウェア開発の工程が終了しました。
組み込みハードウェアの開発は、もちろん技術者1人ではできません。それぞれの工程の専門家(企業)がそれぞれの役割、基版設計や基版製造などを担い、1つの組み込みハードウェアを開発します。大きいプロジェクトでは数千人規模の人が関わっている場合もあります。
こうして開発したハードウェアにソフトウェアを組み込み、クロスデバッグを行います。例に挙げたBD/HDDレコーダーならば、基板上に搭載されたメモリやHDMI、SATAなどの部品が正しく接続されているか、正しく動くかといった動作確認を経て組み込み機器が完成します。
前回の「組み込みソフトウェア開発」と今回の「組み込みハードウェア開発」で組み込みシステム開発がなんとなくご理解いただけたのではないでしょうか。次回は、組み込みソフトウェアの中でも中心的な存在となる「組み込みOS」を見ていきましょう。 (次回へ続く)
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