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他人の視線につられて無意識に注意をそらす神経メカニズムを解明医療技術ニュース

京都大学は、他人のそれた視線を見ると、つられて視線の方向に注意がそらされる「注意の移動」が起こる時に、下頭頂小葉・中前頭回といった大脳新皮質の脳部位が強く活動することを明らかにした。

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 京都大学は2015年10月8日、同大医学研究科の佐藤弥特定准教授らの研究グループが、他人のそれた視線を見ると、視線が無意識に注意をそらす神経メカニズムを解明したと発表した。同成果は、9月末に米科学誌「NeuroImage」のウェブサイトに速報版として掲載された。

 同研究グループは、以前行った行動実験により、他人のそれた視線を見ると、つられて視線の方向に注意がそらされるという「視線による注意の移動(注意シフト)」が、無意識(視線が見えないサブリミナルの状況)でも起こることを明らかにしている。しかし、無意識の視線による注意の移動が、どのような脳のメカニズムで起こるのかは不明だった。

 今回の研究では、それた視線と真っすぐな視線を、無意識的な閾下(サブリミナル)と通常の意識的な閾上で呈示し、脳の状態を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測した。閾下呈示では、テレビの1コマ(33ms)よりも短い時間だけ視線を呈示し、意識的には見えないが、脳には刺激が入力される状況をつくった。

 その結果、閾上条件/閾下条件とも、それた視線に対して、注意の移動に関わるとされる下頭頂小葉・中前頭回といった大脳新皮質の脳部位が強く活動することが分かった。また、閾下呈示の場合には、それた視線に対して、無意識での視覚情報処理を担当するという上丘・扁桃体といった皮質下の脳部位が活動することも分かった。

 同成果から、無意識の視線による注意シフトを実現するために、意識的な場合と共通する注意の脳内ネットワークや、意識的な場合とは異なる脳内の情報処理経路が関係していることが示唆された。

 視線によるコミュニケーションは、対人関係の形成には不可欠なものとなる。今回の成果により、今後、視線コミュニケーション障害の基盤となる神経ネットワークの解明などが期待できるとしている。

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閾下条件で特に、それた視線に対する強い活動。無意識で視覚情報を処理する経路と提案されている扁桃体(左)と上丘(右)が活動した。

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