感熱材で何でも直接印字、梱包印刷業務のコストを4割低減する新技術:FAニュース(1/2 ページ)
自動認識ソリューションを展開するサトーホールディングスは、英国のDataLaseと資本業務提携を行い、DataLaseが開発した印刷技術「インラインデジタルプリンティング」の日本、アジア、オセアニアでの展開を開始する。新たに販売会社「スぺシャレース」を設立し、2019年に売上高150億円以上を目指す。
自動認識ソリューションを展開するサトーホールディングスは、新たに英国DataLase(データレース)と資本業務提携を行うことを明らかにした。データレースが開発した印刷技術「インラインデジタル プリンティング(以下、IDP)」の日本を含むアジア・オセアニア市場における独占販売権を取得。新たに2015年10月21日に専門販売会社として「スぺシャレース」を設立し、ラベルレスソリューションの展開を進めていく。
特殊な発色顔料を開発
データレースは1988年創業の研究主導型ベンチャー企業。同社が開発したIDPは、特殊な発色顔料をコーティング剤として塗布することで、さまざまな物を感熱素材に変えることのできる技術だ。コーティング剤を塗布した部分にレーザーマーカーで熱を加えることで発色させることができる。コーティング剤を塗布しておけばさまざまな素材のものにレーザーマーカーで直接印刷が行えるようになる。
特徴となるのは、商品にダイレクトに印刷ができる点と、従来の印刷方法やラベルと比較して印刷スピードが早い点だ。また、既存の印刷設備をそのまま使えるため初期コストを抑えられる他、レーザーによる印字となるため、インクジェット方式などのようなメンテナンスが不要となり運用コスト面も抑えられる。
印刷スピードは、最高で1秒に約80インチ(2032mm)まで可能。通常の生産工程に組み込んだ場合、ほとんどのラインで生産スピードを緩めずに導入可能な性能を持つ。テープなどの表面に全てIDP顔料をコーティングした場合、レーザーマーカーの制御によりラインを止めずに印字内容を変更することなども可能だ。現状では、白黒などの単色の表現のみだが、2017年をめどにフルカラーバージョンも提供する予定だという。
ラベルとラベルレスの双方の強みを訴求
サトーホールディングスの代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの松山一雄氏は「サトーでは長らくラベルソリューションを展開してきたが、ラベルレスソリューションの新たな核としてIDPを展開していく。この技術は“ゲームチェンジ”につながる革新的な技術だと考えている。当社の新しい基幹産業として育てていきたい」と述べている。
また「ダイレクトマーキング(直接印字)などラベルレスソリューションを提供する企業は多いが、ラベルソリューションとラベルレスソリューションを両方提供できる企業は世界的に見ても少ない。どちらもユーザー企業の用途にあったソリューションの提供できる強みを発揮する」と松山氏は語る。
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