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「特許で保護するには適さないノウハウ」をどうやって保護するか?いまさら聞けないNDAの結び方(3)(3/4 ページ)

オープンイノベーションやコラボレーションなどが広がる中、中小製造業でも必要になる機会が多いNDAについて解説する本連載。今回は、NDAを活用して秘密情報を開示する際、「特許で保護するには適さない情報(ノウハウ)」をどのように保護したらよいかという点について解説します。

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特許出願になじまないノウハウを保護する方法

 さて、特許出願になじまない技術(ノウハウ)を保護する手段として、現状では主に以下の3つの方法が取れます。

(1)自己責任での秘密管理

 「特許出願になじまない技術(ノウハウ)」を保護する方法は、先述したコカコーラの原液シロップの製造方法と同じように門外不出として自社で秘密にしておくというのが1つの手段となります。「秘密情報」として自社で管理するというのが最も効果的な機密保持手段となります(身も蓋もない話で恐縮です)。つまり、法的な「権利」として保護されない以上、「自己責任」で秘密にしておくしかないということです。

 ただ、秘密情報を外部に開示する場合又は意図せず外部漏えいしてしまった場合は、秘密保持契約(NDA)を締結する方法と、不正競争防止法の適用によって、秘密情報を保護することができます。

(2)秘密保持契約(NDA)による保護

 秘密保持契約(NDA)は、秘密情報を開示する相手方(今回はCFGモーターズ)に秘密保持義務などを負わせることで、開示された秘密情報がさらに第三者に漏えいすることを防止する機能を持っています。NDAについては、次回以降の連載で詳しく触れますので、ここではこのくらいにしておきましょう。

(3)不正競争防止法による保護

 秘密情報は一度外部の人に漏れると「時間を巻き戻す」ことや「秘密情報を取得した人の記憶を消す」などという対策は取れません。「秘密が漏えいされる前の状態に戻す(原状回復)」ができない状況となります。そのため所定の秘密情報(「所定の」というところがポイントです。後述する「営業秘密」に限られます。そこで、以下では「営業秘密」という言葉を使います)が盗まれるなど、漏えいした場合を想定して「不正競争防止法」という法律が制定されています。

 不正競争防止法は、漏えいした営業秘密の使用や再漏えいなどの差止め、漏えいによって発生した損害の賠償を規定することで、「事後的」に営業秘密を保護するものです。次ページでは、本連載と関連する範囲で、ごく簡単に不正競争防止法の規定を紹介します。

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