現場の研磨作業を楽にすると業績が上向く:研磨のスペシャリストがサポート(2/4 ページ)
スリーエム ジャパンは宮城県仙台市の東北工業大学 地域連携センターと協力し、東北地域の中小製造業が抱える課題解決に向け、同社の“研磨技術”の紹介を通じて作業工程の改善を支援する取り組みを開始した。それに合わせて東北工業大学で開催されたセミナーで、その具体的な取り組みと狙いについて取材した。
独自技術が生きる「3M キュービトロン II 研磨材」
スリーエムが2011年から日本国内での販売を開始し、“研磨作業にイノベーションをもたらす製品”として2012年から積極的に展開しているのが「3M キュービトロン II 研磨材」(以下、キュービトロン II)シリーズだ。一般的な研磨材製品と比較して数倍の研磨力を持ち、さらに使用しても研磨力を維持しやすいというのが最大の特徴だ。研磨よる焦げなども少なく、仕上がりもきれいになるため、後処理工程に掛かるコストを削減できるメリットもあるという。
こうした性能を支えているのが、米国の3Mが独自開発した「精密成型砥粒(PSG:Precision Shaped Grain)」だ。従来の研磨砥粒は、使用していくうちに研磨に必要な砥粒の角が丸みを帯びて消耗する。しかしこの精密成型砥粒は、特殊なセラミックス原料からできたナノレベルの微細砥粒を結晶化しており、使用していくと徐々に剥離しながら常にシャープなエッジを保てる。これがキュービトロン II シリーズの高い研磨力とその持続性能を支えている。
実際にどれくらいの効果があるのか
スリーエムが訴えるのは、キュービトロン IIなどの高性能な製品の導入による研磨作業の効率化が、研磨作業を必要とする製造業の経営改善に貢献するという点だ。では実際にキュービトロン IIを導入したことで、どれくらいの成果が出ているのか。スリーエム ジャパン 研磨材製品事業部 マーケティング部 マネージャの原直彬氏は導入事例を紹介した。
その1つが大型タービンなどの加工を手掛ける製造業への導入事例だ。この企業ではキュービトロン IIの導入により研磨作業時間が3分の1となり、年間8000時間、人件費に換算して年間2500万円のコスト削減を実現したという。キュービトロン II シリーズは、他の一般製品と比較して高性能である分、価格も数倍高い。この導入事例の場合は、キュービトロン IIの導入費として約200万円の投資でこのコスト削減効果を得られたという。
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