特集
政府主導のモノづくり革新は、日本の製造業に“ワクワク”をもたらすか(後編):デライトものづくり(1/4 ページ)
安倍政権が推し進める経済再生政策で重要な役割を担う「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の公開シンポジウムの様子をお伝えする本稿。前編では「SIP 革新的設計生産技術」の全体像について説明したが、後編では現在進行する24のプロジェクトの一部を紹介する。
日本政府が主導し「日本のモノづくり復活」に向けて新たな設計・生産手法を模索する「SIP 革新的設計生産技術」。2014〜2018年度の5カ年計画で進められているが、約1年間の取り組みの中で、どういう中間成果を生み出せたのだろうか。前編ではまずSIP 革新的設計生産技術の全体像について説明したが、後編では実際に稼働する24のプロジェクトの概要について一部を紹介する。
SIP 革新的設計生産技術は、地域とテーマを組み合わせた6つのクラスタで、構成され、さらにそれぞれのクラスタが3〜5個の研究プロジェクトを抱え、相互協力しながら取り組みを進めている。6つのクラスタと24の研究テーマは以下の通りだ。
- 超上流デライト設計・生産研究クラスタ
- 革新的デライトデザインプラットフォーム技術の研究開発
- 超3D造形技術プラットフォームの開発と高付加価値製品の創出
- チーム双方向連成を加速する超上流設計マネジメント/環境構築の研究開発
- Additive Manufacturingを核とした新しいものづくり創出の研究開発
- 最適化設計・生産研究クラスタ
- 全体俯瞰(ふかん)設計と製品設計の着想を支援するワークスペースの研究開発
- 迅速で創造的な製品設計を可能とするトポロジー最適化に基づく超上流設計法の開発
- バイオイノベーティブデザインの研究開発
- 3次元異方性カスタマイズ化設計・付加製造拠点の構築と地方実証
- リアクティブ3Dプリンタによるテーラーメイドラバー製品の設計生産と社会経済的な価値共創に関する研究開発
- 加工技術の複合化・知能化研究クラスタ
- CAM−CNC統合による革新的な工作機械の知能化と機械加工技術の高度化
- 次世代型高性能電解加工機の研究開発
- マルチタレット型複合加工機(ターニング・ミーリング)による複雑形状の簡易・確実・高精度な知的加工システムの研究開発
- 革新的複雑造形研究クラスタ
- 高付加価値セラミックス造形技術の開発
- ガラス部材の先端的加工技術開発
- 高付加価値設計・製造を実現するレーザーコーティング技術の研究開発
- イノベーションソサエティを活用した中部発革新的機器製造技術の研究開発
- ナノ物質の集積複合化技術の確立と戦略的産業利用
- 革新的材料・3D造形研究クラスタ
- 分子接合技術による革新的ものづくり製造技術の研究開発
- デザイナブルゲルの革新的3Dプリンティングシステムによる新分野の進展支援と新市場創出
- フルイディック材料創製と3Dプリンティングによる構造化機能材料・デバイスの迅速開発
- 現場立脚型研究クラスタ
- データマイニング、遺伝的アルゴリズム、迅速試作技術の融合による進化的ものづくりシステムの構築に向けた研究開発
- 計測融合計算化学を活用したスノースポーツ用品の最適化
- 市場流通材のスーパーメタル化開発
- 東工大ー大田区協創による喜びを創出する革新的ものづくり環境の構築と快適支援機器の設計製造技術の開発
2015年9月17日に開催された公開シンポジウムでは、これらの6つのクラスタおよび24の研究プロジェクトがそれぞれの研究内容と進捗状況について紹介した。中編ではこの内、「超上流デライト設計・生産研究クラスタ」「最適化設計・生産研究クラスタ」「加工技術の複合化・知能化研究クラスタ」の3つの取り組みを紹介する。
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