海外で開発進む自動運転技術、米国では実験用の“仮想の街”も登場:自動運転技術(3/3 ページ)
自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」は、第5回目となるメディアミーティングを開き、自動運転の国際動向について解説した。米国には実験用の施設が登場、いよいよ国際的に自動運転技術に関する「基準」を策定するフェーズに入っている。
自動運転における「Roadworthiness」
メディアミーティングでは、自動運転技術開発の関係者が今話題にしている関心事についてもまとめられた。最も重要な事項としてあげられたのが、自動運転における「Roadworthiness」。走行に関する適性、という意味を持つ言葉だ。
「自動運転を広めるには、まず車両が備えるべき機能・性能の“基準”を作ること、その次に基準を満たしているか“検証”する技術的手法を確立すること、最後に基準を満たしていることを“認証”する国際的な枠組みを作ること。この3つの決定が重要だ」(天野氏)。各国が実証実験に進むにあたり、これらの議論が国際的に活発化していると語る。特に、基準作成については国際連合の中の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)においても議論がなされている。
また、世界情勢の調査を行うWorld Economic Forumによると、自動運転達成のためには2つのアプローチがあることがわかった。1つは段階的に発展させるアプローチを指し、ITSなどから自動運転の実現を進めるSIP-adusや自動車メーカーなどがそれに当たる。もう1つは挑戦的アプローチで、米国ではGoogle、日本ではZMPといったITベンチャーが該当する。こうした達成のためのアプローチに対する議論も活発に行われていると言う。
実用化への課題と、切り離せない倫理問題
さまざまな角度で議論がすすむ自動運転だが、技術面以外の課題も多くある。自動運転時に故障事故が起きた際、現在自動車メーカーが取っている責任は誰がとるのか、安全性を確認するにはどうするか、自動運転に関する政策の作成方法は、など議論すべき事柄は山積みだ。
また、自動運転が実現した際の「倫理」についても問題にあがっている。システム通りにクルマが動いたとして、「例えばはみ出し禁止の車線を走行中、違法駐車していた車両が目の前に突然出てきた場合クルマはどうするか? 止まったままか? など臨機応変に対応しなければならないシナリオへの検討が必要」(天野氏)。
2015年10月5〜9日には、フランスのボルドーで「ITS世界会議ボルドー2015」が開催される。「主要テーマは、協調システムと自動運転、測位衛星のITS活用など。現在浮かび上がっている課題について現地で議論を重ねたい」(天野氏)。
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