UMLやSysMLを活用できないエンジニアのための実践的活用術(前編):プロジェクトを成功させるモデリングの極意(1)(6/6 ページ)
モデリングの手法やツールの基礎を覚えるだけでなく、モデリングの目的やその本質をつかんで、ソフトウェアの開発現場で実際に役立つように基本を学んでいきましょう。
EA Enterprise Architecture
EA(Enterprise Architecture)とは大きな組織での全体最適化を目指すアーキテクチャで、いくつかのモデル図で表現します。その内の1つである機能構成図「DMM」を図12に示します。
このEAはジョン・A・ザックマン(John A. Zachman)氏が提唱した「ザックマンフレームワーク」が元になっていて、複数のUMLの図を使い、独自の図も使ってを記述します。この連載記事ではEAについてはこれ以上触れませんが、モデリングフレームワークの完成形の1つでもありますので、モデラーはザックマンフレームワークを参照する価値があります。
その他のモデリング
これまでに紹介したモデリングやモデル図以外にも、ソフトウェア開発で使っているモデリング手法や図があります。例えば、図13にビジネスモデリングで使用されるピクト図の例を示します。ピクト図ではビジネスモデルの鳥瞰(ちょうかん)を可視化し、ワークフロー図などで流れを記述します。
ここまでモデリング手法やモデル図を一巡りしてきましたが、いかがだったでしょうか。いろいろあって多すぎる!と思われたでしょうか。でも安心してください。ここで一巡りしてきたモデリング手法を全部使うことをお勧めするわけではありません。
この連載ではその逆で、「手法やツール、モデル図は多くない方が美しいモデルを作れる」ことをご紹介したいと思います。総花的にならないように、モデリングの目的を明確にして、低コストでモデリングすることを目指していきましょう。
しかしここで紹介したモデリング手法は有名なものばかりですので、モデラーとして見栄を張るためにも少し覚えてください。そしてこの知識を元に他の人が適材適所でモデルを使っているか、使うべきでないところで使っていないかをチェックできるようにしてください。これがモデラーとしての第一歩となります。*UMLやSysMLを活用できないエンジニアのための実践的活用術(後編)に続きます
著者プロフィール
五味弘(ごみひろし)
OKI(沖電気工業) シニアスペシャリスト、エバンジェリスト。博士(工学)。
ソフトウエアの開発支援・教育に従事。電子情報技術産業協会(JEITA)専門委員会の委員長や情報処理振興機構(IPA/SEC)などの委員多数。三重大学などの非常勤講師も務める。エンタープライズ系と組み込み系におけるソフトウエア開発の知見融合が関心事。
共著書に『定量的品質予測のススメ』(オーム社、2008年)、『プログラミング言語論』(コロナ社、2008年)などがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.