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自動運転システム実現への課題は「膨大なデータのひも付け」自動運転技術(2/3 ページ)

自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」は2015年9月17日、メディアミーティングを開き、進捗状況について解説した。2020年度までの目標に対して進捗はおおよそ10〜15%ほどで、「膨大なデータのひも付け」が今後の大きな課題となる。

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ドライバー同士のアイコンタクトを自動運転でどう実現するのか

 人とクルマをつなぐHMI(ヒューマンマシンインタフェース)についてもSIPでは取り組みを行う。葛巻氏は、「HMIは車両の魅力の1つである使い勝手などに直結することもあり、基本的には各社で開発を進める競争領域になる。しかし、自動運転技術が導入されていく段階で、ドライバーから自動運転、自動運転からドライバーといったように運転操作の主体が切り替わることも考えられる。その切り替わりの過程が各社で異なるとユーザーは混乱してしまい、事故につながりかねない。国際協調も視野に入れつつ、自動運転に求められるHMIのガイドラインを決めるのがわれわれの役目」と説明する。

SIP-adusが進めるHMI検討のフレームワーク
SIP-adusが進めるHMI検討のフレームワーク(クリックで拡大) 出典:SIP-adus

 人とクルマ間のガイドラインだけではなく、「車車間の意思疎通」も重要だという。「現在はドライバー同士のアイコンタクトなどに任せている “曖昧”なルールを、自動運転車にも反映しなければならない」(葛巻氏)。さらに、決定したガイドラインを社会に受容してもらうための土壌作りもSIP-adusの役目であると説明した。

 また、自動運転での運転中、ドライバーへの運転権限の委譲が突然発生するような場面についても対策を行う。ドライバーがリラックスしている場合はどう委譲するか、別車両が予測外の動きをした場合はどうすべきか、などさまざまなシナリオを用意し、分析・評価を進める。平成27年度はドライビングシミュレーターを使った実験も行っている。

人とクルマ間の権限移譲にまつわるアプローチ
人とクルマ間の権限移譲にまつわるアプローチ(クリックで拡大) 出典:SIP-adus

ITSの“先読み情報”を自動運転システムに活用する

 自動運転には車両の周辺を検知するためのセンサーが不可欠だ。しかし、遮蔽物越しに出てきた他車両との出会い頭の事故など、車両に搭載するセンサーではカバーし切れない状況もあり得る。そうしたセンサーの検知情報から自動ブレーキなどを行う「自律型システム」で補えない部分は、ITS(高度道路交通システム)の情報を活用し“先読み”することで「協調型システム」として補完しようという研究もSIP-adusは進めている。

 平成26年度は、ITS活用に向けて車車間通信/路車間通信における通信プロトコルの策定を行った。また、歩車間通信の実現に向け、直接通信型および携帯電話ネットワーク利用型システムの開発や、人やクルマの存在を安価なインフラで検知できるレーダーの開発にも取り組んできたという。

ITSの自動運転システムへの活用平成26年度にITS活用に向けて行った施策 自動運転システムに必要な様々な技術(左)。ITSからの先読み情報もその1つだ。平成26年度にはITS先読み情報の活用に関する取り組みも進めた(右)(クリックで拡大) 出典:SIP-adus

 「2015年中にサービスが開始される『ITS Connect』のように、ITS情報を運転支援に役立てようという動きは全国的に進んでいる。しかし、これを自動運転システムまで移行するとなると、通信の信頼性や位置精度がまだまだ追い付かない状態だ」と葛巻氏は課題を挙げる。特に、現状使用されているGPSは位置精度の誤差が約10mと大きく、これを約0.5mまで高精度化する要があると解説した。位置精度の向上策として、準天頂衛星「みちびき」など複数の衛星で測位するマルチGNSSやBluetooth Low Energy、Wi-Fiなどの活用を検討しているという。

 また、情報セキュリティの重要性も向上しているという。「自動車が携帯電話ネットワークや車車間通信などのITSによって通信接続することにより、PCと同じようなサイバー攻撃にさらされる可能性が出てきた。人命を乗せる移動体として情報セキュリティについて検討中で、IT業界の知見の織り込みも行っている」(葛巻氏)。現在は脅威分析や要件の検討、対策技術の収集などを進めている。

SIP-adusの情報セキュリティにまつわる取り組み
SIP-adusの情報セキュリティにまつわる取り組み(クリックで拡大) 出典:SIP-adus

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